- 作者: 佐々木譲
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/01/15
- メディア: 文庫
- クリック: 8回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
題名にも用いられるとおり、ガラスが重要なモチーフとなるこの小説、作品全体の雰囲気もガラスに似て冷ややかで澄んでいる。その一方で、熱く燃えたぎり、融解する面ももつ。そういうイメージが、世界を生きぬく大人の男の生き様に直結していく。佐々木譲の美学が、洗練されたかたちでお洒落にまとまった印象をもった。
ただし、主人公の男も、周りの人間もクールにすぎて、サラリーマンのための小説としてはなかなか厳しいところもあり。ぼくはこのくらい人情が抑制された世界が好きだけれども。