米国初の女性大統領、フロレンティナ・ケインの暗殺計画が進行している――。
不穏な情報を掴んだFBIは隠密捜査を開始するが、直後、チームリーダーと捜査官、さらには情報提供者が同時に命を落とす。ただ一人残された若手捜査官マーク・アンドリュースは、数少ない手がかりから犯人たちを追跡する。
- 作者: ジェフリーアーチャー,ジェフリー・アーチャー,永井淳
- 出版社/メーカー: 新潮社
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ヒラリー・クリントンが大統領になるかもしれない現代、あくまでありえないハナシとして描かれる女性大統領とその暗殺というストーリーは訴求力ばつぐん。冒頭でケインが大統領に就任してから、FBIの二人が謎の集団に襲撃され葬られるまでの60頁は最高のスタートと言っていい。
ここらへんまでは、『ジャッカル』に並ぶ暗殺小説の傑作かも、という期待をしていたのだ。
- 作者: フレデリック・フォーサイス,篠原慎
- 出版社/メーカー: 角川書店
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でもその後は緊張感が続かない。
例えば、マークは事件を追いながらも、美人医師エリザベスとかなり浮かれた恋愛に突入してしまう。
マークが上司亡き後事件について相談するFBI長官ホールト・タイスン(名前からしてわかりやすい)は、マッチョなアメリカンヒーローといった感じで、リアルなサスペンスの雰囲気を一気に取っ払ってしまう。ま、それはそれでいいのだけれど。
アーチャーの作品を読むのはこれが初めてだったのだけれど、どうもユーモアとサスペンスを同居させる作風が持ち味らしい。
でも暗殺だぜ。大統領暗殺だぜ。やっぱりもうちょいと締めて欲しかった。