- 作者: 新城カズマ,鶴田謙二
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2005/06/16
- メディア: 文庫
- 購入: 12人 クリック: 560回
- この商品を含むブログ (355件) を見る
- 作者: 新城カズマ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2005/07/21
- メディア: 文庫
- 購入: 11人 クリック: 89回
- この商品を含むブログ (278件) を見る
鶴田謙二のイラストで二割増し。
増さなくても傑作だけど。
現代の若者の青春が鮮やかに描かれる。大量の固有名詞が登場する。
けれどもそれは、センチメンタリズムや衒学趣味によるものではない。SFと青春のすべてを、ひとつずつ探し当ててはていねいにぷちぷちとつぶしていく感じがする。
言及することは、その対象を固定し、埋葬することだから。
とはいえ、それがものすごくいやーな感じ(分析趣味というか、批評的小説というか)にはなっていないのは、次のような価値観があるから。
登場人物のひとり、知里先生についての記述。
先生はちゃんと読んでた。それは例えば辻原登とか、飯嶋和一とか、黒田硫黄とか、前田愛(『ガメラ3』のヒロインじゃなくて、国文学者のほう)とか、関口嚝野とか、野口武彦とか、そういうのをだ。『読む」っていうのは、つまり読むこと以外の報酬がないって意味だ。味わうためだけに味わうってことだ。