- 作者: 山田風太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1999/01/14
- メディア: 文庫
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千利休のこの推定がはたして中っていたかどうか、作者は知らない。
『伊賀忍法帖』は山田風太郎という作者の創り出したものであり、すべてかれの制御下におかれたつくりものである。しかし、その内実について「知らない」と言ってしまう。
これは作者が虚無から取り出した空想ではないのか。作者が知り得ない歴史だというのならば、めまぐるしく展開する妄想は現実なのか。虚無が現実を侵し、虚無は虚無以上の質量を得る。