こづかい三万円の日々

30代の男がアニメ、映画、音楽などについて書いています。Twitter:@tegit

山田風太郎『伊賀忍法帖』

伊賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(3) (講談社文庫)

伊賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(3) (講談社文庫)

 山田風太郎は虚無を操る。

 千利休のこの推定がはたして中っていたかどうか、作者は知らない。

 『伊賀忍法帖』は山田風太郎という作者の創り出したものであり、すべてかれの制御下におかれたつくりものである。しかし、その内実について「知らない」と言ってしまう。
 これは作者が虚無から取り出した空想ではないのか。作者が知り得ない歴史だというのならば、めまぐるしく展開する妄想は現実なのか。虚無が現実を侵し、虚無は虚無以上の質量を得る。