複数のシリーズの登場人物が一同に!というタイプの物語にめっぽう弱い私としては、同じ著者の『劫火』がどうにも気になるわけである。
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おそらく、「B級」そのものをそのままに楽しめる人もいるのだろう。しかしぼくの場合、「B級」を極めたあとに生まれる何か新しいものこそに価値があると思っていて、最終的に何も残さないこの小説には興奮することができなかった。映画でいうなら、『シューテム・アップ』に近い感触だった。
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もう一点、なんとも見過ごせない瑕疵として、俺ジナルすぎる文体がある。講談社の校閲の人たちは、訂正したい心を抑えるのが大変だったんじゃないか。この句読点使いを看過できる編集者の肝っ玉にぼくは感心してしまう。
どんな非常識な文体も、面白さに貢献していればそれでいい。でもこれって、特に意味なくない?