『サマーウォーズ』http://s-wars.jp/index.htmlを、昨晩、試写会で鑑賞した。いまだ興奮が冷めていない。
『エヴァンゲリオン新劇場版:破』に続いて、こんな傑作アニメを同じ年の同じ月に観てしまってよいのでありましょうか。こりゃあ今年の運もすべて使い切ったね、という冗談があんまり冗談にならないくらい、最高でしびれる二時間でありましたよ。
すでに各所で指摘されているとおり、「世界の存亡をかけて、謎の存在と電脳空間で戦いを繰り広げる」という物語の骨子は『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』とまったく変わらない。なのに、この新鮮さはどうよ。まったく観たことのない映画を観ているというこの感動はなによ! 「どうせ『デジモン』の焼き直し」とか知ったかぶりしている不届き者はぜったい後悔しますよ!
まず初めに言っておくと、これまでのところ、ぼくは細田作品にがっちり心を奪われたことがなかったのだ。
細田守監督が最初にその名を轟かせた『デジモン〜』はたしかにタイトなつくりで観客をはらはらさせる良質のサスペンスアクションだったとはいえ、登場人物たちがぶつかり合うドラマ性はいまいち薄めで、正直なところを言うと、そう大きな衝撃を受けることはなかった。
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前述したように、映画のなかで起こる事件の顛末は『デジモン〜』とほぼ変わらない。しかしそこは傑作の誉れ高い『デジモン〜』のプロットなだけあって、シンプルで観るものを飽きさせない。アクション満載のサスペンスが、カラフルで見目麗しい電脳空間で怒涛のごとく展開される。
いっぽう現実世界で繰り広げられるのは、旧家のおばあちゃんの誕生日祝いに巻き込まれた高校生・健二と、かれを迎える大家族の面々のドラマ。これがまた波乱万丈の大人情活劇なのである。登場人物たちの想いと行動、言葉が豊かに描かれたとき、そこには銃や車や爆発で構成されるいわゆる「アクション」と同等の重みと刺激をもつ映画的快感が生まれる――これは娯楽映画の作り手が理解すべき最も重要な肝だと思うが、さすが細田監督、この点をしっかりわかっている。
これは『エヴァ』でも経験したことだけれども、ぼくはこの映画を観ているあいだじゅう、「お、おれの心はまだこんなにアニメを面白がれたのか!」という驚きを常に味わっていた。
アニメーション、アクションサスペンス、ドラマの三つを柱にして、最高の技量とイマジネーションを用いて組み立てられた大傑作娯楽映画、それが『サマーウォーズ』なのだっ。
......いやいや、こんな抽象的な言葉じゃなくて、もっと具体的にぼくはこの映画を語りたい――物語のあの場面、この人物、あんな作画、こんな編集......とにかく滅法語りたい、もちろんもう一度観たい、うぎゃー!!
とまあ、レビューをとにかく早く書きたいと思えど支離滅裂でぜんぜんまとまらず、出張先のホテルでPCを開いてまでまだ書き足りなくて頭をかきむしっている次第。
一般公開されるのは8月1日だそうで、映画館をはしごして『エヴァンゲリオン新劇場版:破』と『サマーウォーズ』を二本立てにして再度観てこようと心に決めている。鑑賞後、寝込んで倒れるかもしれない。
*1:といってもぼくは上記以外の細田作品は未見ですごめんなさい。