こづかい三万円の日々

30代の男がアニメ、映画、音楽などについて書いています。Twitter:@tegit

この世界で戦い続けるために『リミット 刑事の現場2』最終回

これまでのあらすじ:ダークナイト・リターンズ・トゥ・名古屋『リミット 刑事の現場2』

 まさか第一回のテンションが、最終回まで持続されるとは思っていなかった。これは非常に嬉しい誤算だ。本作は今年を代表する作品の一つになるだろうし、今後、ドラマや小説が警察を描く際には必ず参照されるべき重要作品に位置づけられるだろう。

 このクソッタレな時代に、ヒーローはどうすれば維持されるのか。前回の記事で言及した『ダークナイト』も『セブン』も、ヒーローを取り巻くクソッタレな状況を展開させていくほうに重点がおかれていて、ヒーロー自身がその動機を語ることは少なかった。クライマックスでの森山未来武田鉄矢のやり取りは、先行作品を参照しつつ、そのいずれもが到達できなかった地点までのぼりきっていたと思う。
 森山未来演じる加藤刑事が、真に絶望的な状況には落ち込まないことについて「ヌルい」と指摘する意見もありそうだが、しかしぼくはそここそがこのドラマの描こうとしたことではなかったか、と思う。ブルース・ウェインとミルズ刑事はたった一人で地獄の真っ只中に立ったために、歪んだ私刑者にならざるをえなかったが、加藤刑事の傍らには、実際に地獄に落ちた梅木刑事(武田鉄矢)がいた。世の中は地獄だし、人間は終わっている。しかし、諦めない人間が結びつけば、光明は必ず見えてくる――。

 善と悪との戦いを中心に据え、警察制度の是非や社会の空気について問いを投げかけ、世代交代のあるべき姿をも提示する。これだけ大量の問題に、たった5話で立ち向かった製作者たちの力量と志の高さに、ぼくは感服せざるを得ない。