- 作者: 村上春樹
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でも、BOOK3を読み終わった今では、やはり村上春樹は村上春樹のまんまなのかなあ、という気がしている。
2で語られなかった青豆と天吾の再会を驚くほど素直に語るところや、新たな視点人物・牛河を登場させるところなど、一見1・2で提示された世界の謎についてより詳しく語っていくのだろうなあと思えるのだけれど、けっきょく天吾と青豆が結ばれるっていう決着だけしかみせていなくて、世界の謎は投げたままなのだ。ふかえりと牛河の扱いをみていると、村上春樹ってぜんぜん世の中のこと考えてないんじゃね?けっきょく自分がかわいい(できれば妊娠しない)女の子とセックスできてりゃそれでいいんじゃね?と思っちゃう。
だって最後のほうに、こんな一文があるんだぜ。
いくつかの窓にともった明かりは、彼ら以外の人々もまたこの世界に生きていることを示唆している。それは二人にとってはずいぶん不思議なことに思える。いや、論理的に正しくないことにさえ思える。自分たち以外の人々がまだこの世界に存在し、それぞれの暮らしを送っているということが。
いや、その感じ、わかるけどさあ。けっきょく、閉じたことに無自覚なセカイ系で終わっちゃっているじゃんよー。そういう閉じたところに終わっちゃうような二人だったのかよ天吾と青豆は、とも文句をつけたくなる。そのくらいには1・2の二人は魅力的な登場人物だったもの。そう簡単に抗うことをやめさせていいのかよ、いくら子供がいるからって..、とここまで考えて気づいた。
1984年に子供ができた彼らって、82年生まれであるぼくの父母とほぼ同世代なんだなあ。ぼくの親もぼくを育てるにあたって、世界に対する窓を閉じたのだろうか。うーむ。