こづかい三万円の日々

30代の男がアニメ、映画、音楽などについて書いています。Twitter:@tegit

大森望・日下三蔵(編)『年間日本SF傑作選 量子回廊』

量子回廊 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)

量子回廊 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)

 いつもにまして文系SFが多い印象。叙情SFっつうか。工学系SFが少なくてその筋の方々には不評なのではなかろうかなどと勝手な心配をしつつ読みました。野尻抱介とか林譲治とか小川一水とかが入ってないのは単に彼らがSF短編を発表していなかったから? 
 で、背景はともかく、結果集まった作品はどれもぼくの好みには近くて、これまでの二冊にもより増して楽しい一冊でした。新城カズマ瀬名秀明のコンボにしんみりしたりとか、市川春子にやっぱり泣かされたりとか。トリを飾る松崎有理の第一回創元SF短編賞受賞作『あがり』もおもしろかった。「トンデモSFっぽいネタをこういうまとめ方で終わらせてしまっていいのか」「この文体はどーよ」などの問題点は頭のなかに浮かんだけど、ページを繰らせる手は止められなかった。センスのいい人だなあ。