こづかい三万円の日々

40代の男がアニメ、映画、音楽などについて書いています。Twitter:@tegit

フレドリック・ブラウン『霧の壁』

 とかいいつつ、甘々で緩めであっても自分の波長にあう物語は好きとしか言いようがねえなあ、とも思う。こういう小説を読んじゃうと。
 主人公ロッドは、完全に記憶を失った状態で、祖母の殺人現場に居合わせる。通り魔の犯行らしいが、記憶は戻らず、また警察の捜査にも納得がいかない。失った記憶をもとめて、ロッドは自ら事件以前の自分を調べ始める…。
 『天の光はすべて星』でガツンとやられたフレドリック・ブラウン、ミステリもすごくよかった。ミステリもSFも「自分とはなにか」っていうテーマを掘り下げていくところは共通しているとも言えるわけで、各ジャンルで愛すべき作品を残せるのも当然なのかもしれない。ブラウンはミステリの長編を数多く残しているようだけど、ぜんぶ絶版ぽいので、こつこつ古本屋で集めていきたい。
 なお、どうでもよいことですが、本作の主人公がコピーライターで、元同僚の女の子にベタぼれっていうところから、脳内ではずっとジョゼフ・ゴードン・レヴィット@『(500)日のサマー』を当てはめて読んでおりました。でもちょっと格好良すぎるかなあ。