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こづかい三万円の日々

30代の男がアニメ、映画、音楽などについて書いています。Twitter:@tegit

インターネット直前だからできたのかも 筒井康隆『朝のガスパール』

朝のガスパール (新潮文庫)

朝のガスパール (新潮文庫)

 筒井康隆もまともに読んでないのこのひとでなし、と妻に罵倒されるのに疲れたので久々に読んだ一冊。『パプリカ』読みたかったんだけど手元にないしなあ、とか思っていたらパプリカが出てきたのでちょっとうれしかった。
 その他盲滅法な面白さについては省略。ネットの掲示板上のやりとりを新聞の連載小説に反映させるっていう試みを筒井康隆がやったんだから面白くないわけないでしょう。
 じゃ、この小説が書かれた1991年から二十年経ったいま同じことをやったらどうなるんだろ?
 もちろんそれなりに楽しいだろうとは思うんだけど、その成果を一冊の小説にするとしたら、たぶん『朝のガスパール』を超えることは難しいんじゃないかなあとも思う。いまのネットの熱量の質って、小説っていうメディアに還元しきれないタイプのようにぼくには見える。その熱量を描写することは可能でも、小説の読者に熱量を楽しませるのは厳しいでしょう。『朝のガスパール』の巻末でレポートされる掲示板のやりとりは楽しそうではあるけど、参加してえ!と歯ぎしりさせるようなものではない。でも今同じことをしたら、その同時性を逃したことが悔しくてたまらなくなると思うんだよなー、たぶん。