- 作者: マリオ・バルガス=リョサ,田村さと子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2008/01/10
- メディア: ハードカバー
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二人の人生をもっと交錯させて語るのかと思っていたけれど、語り手が移動するのはそれぞれの人生内だけで、意外にタイトな印象だった。でもその語り手がときおり「〜だったよね、ポール」とか「そのときおまえは〜」というような、親密な語りかけを行うのがおもしろい。読者(外)だけでなく物語内人物(内)にも語りかけている。それが反復されて、物語がどんどん広がっていくイメージ。
おばあちゃん(フローラ・トリスタン)パートでは、労働者の救われなさは現代と(構造的には)変わんねえなあとか思うときもあるけれど、そのへんに拘泥する気分はあっさり薄れて、かれらの人生をぐいぐい読んでいくことに集中したくなる小説でした。