10度を超えると爆発する特殊兵器エルヴィスを守るため、元軍人の魔の手から逃げる羽目になったコンビニ店員(スキート・ウールリッチ)とアイスクリーム屋(キューバ・グッティングJr.)の逃避行を描くアクション映画。1999年。
12年越しの落穂ひろい、ということでDVDで観た。アメリカ公開当時、何週間か続けて興行収入ランキング上位に入っており、テレビの映画情報番組で「地味だけどスマッシュヒットした映画」としてたのしく紹介されていたのがやけに強く記憶に残っていたのだ。
結論から言えば、13年間、映画ファンのなかで語られるのを聞くこともなく、ただ前述の記憶だけが残っていた状態だっただけはあるなあ、という出来でありました。
軍人による特殊兵器強奪ものとしてはおそらくこの映画の3年前に公開された『ザ・ロック』の影響を強く受けており、まあいくらでも作品名は挙げられるんでしょうが、そういう手間をかける熱意は決して沸き上がってこない種類の映画です。
オープニングこそ、海上を飛ぶヘリコプターがマイケル・ベイ=ブラッカイマーをもろに想起させて、いちおう堂々としているものだからちょっと熱くなりはするものの、その後に続くいかにもバジェットの小さいアクション映画然とした絵面に冷静になり、あとは100分ちょいのあいだ薄笑いでぼんやり観た次第。音楽もハンス・ジマー&ジョン・パウエルだというのに、盛り上がりの低いこと低いこと..。
おんぼろ冷凍トラックやボートを使って、主役ふたりがドタバタするアクションシーンはそれぞれそれなりに楽しめる出来なので、悪役のスケール感を小さくして*1、デコボココンビの珍道中的側面を強くすれば、愛すべきアクションコメディとしてもう少しいい出来になったのではないかなあ。映画のなかで一番楽しいのは、世界を救った二人が、セクシーな救急隊員に揃ってデレデレするラストなわけだし。
ただ、それこそ『ザ・ロック』にはじまり、『エグゼクティブ・デシジョン』とか『スピード』とか、テロリストと特殊部隊とアクションスターの戦いに日々キャッキャと喚声をあげていた90年代の自分を思い出して、これを駄作とか時間のムダとかなんていう物言いは決してしたくないなあ、と妙な反省と感慨も覚えてしまったのでした。
そりゃ、8-90年代アクション映画を語るとき、映画の出来としては『ダイ・ハード』がオリジンにして最強であって他ぜんぶイラネ、といっておけば正しいのかもしれないけれども、あくまで昔の自分はテレビのなかでドンパチやってくれる強そうな人たちとデカイ銃器に憧れていたのであって、脚本や演出を味わっていたわけではないのですから。
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