こづかい三万円の日々

40代の男がアニメ、映画、音楽などについて書いています。Twitter:@tegit

9月に読んだ本

2012年9月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2409ページ
ナイス数:1ナイス
http://book.akahoshitakuya.com/u/99009/matome?invite_id=99009

■せちやん 星を聴く人 (講談社文庫)
疾走のはての孤独。平易でリーダビリティの高い物語で、日野啓三の域に達している。偉業と思う。青春の甘い孤独を通過して、ぐるっと回ってまた戻ってきたような昏い孤独に至る小説なので、25歳未満の人は読まないほうがよろしい。
読了日:9月11日 著者:川端 裕人
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/22541233

■鷲たちの盟約(上) (新潮文庫)
評判通りのリーダビリティ。改変された世界と、じっさいの40年代ノスタルジーとのいいとこ取りの印象。個人的にはもっと寓話っぽさをはらんだ改変が好みなのですが..とはいえたいへん面白い。
読了日:9月12日 著者:アラン グレン
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/22542037

■鷲たちの盟約(下) (新潮文庫)
なるほどそうくるかー。ある大ネタを梃子に主人公をヒーローにする、その着地の仕方にはお見事と言いたい。ただし、ゲシュタポなり収容所なりの暗い要素は多いものの不思議と淀んだ色気が少なく、またスパイ譚としての魅力も薄め。エンターテイメントとしてはとてもよいバランスと思いますが。
読了日:9月14日 著者:アラン グレン
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/22542295

■シュヴァルツェスマーケン Requiem -祈り- #1 (ファミ通文庫)
絶望と対峙するための誠実で力強い物語。アネット過去編『焦土の花、幸せの理由』に泣かされた。「ひとりになっても戦ってゆくんだ」という語りのもつ哀しみときたら!この短篇だけが一人称というのもうまい。ていうかひどい!アネットはもっと幸せになるべきやないのか!と鼻水垂らして泣きながら作者に抗議したくなるところに、巻末書き下ろしでハーレム話が炸裂するのだからたまらん。
読了日:9月16日 著者:吉宗鋼紀,内田弘樹
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/22189953

■町かどのジム (福武文庫―JOYシリーズ)
1934年発表だけれど、ジムの語る海のはなしは帆船の世界。『ロード・ジム』のジムがもし穏やかな船員人生を終えていたら..と妄想したりしつつ読んだ。奇想小説としても一級。
読了日:9月18日 著者:エリノア・ファージョン
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/22541555

■カーラのゲーム〈上〉 (創元ノヴェルズ)
さほど異常な文体でもないのにひどく早いリーディングを読者に強いる語り口に惚れた。ドライ、ドライ、ドライ、そしてウェット!と、効果的に泣きどころ/熱血どころを仕込んでくる。前半200ページ、サラエボ編はみごとに泣かされました。
読了日:9月21日 著者:ゴードン スティーヴンズ
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/22542691

■カーラのゲーム〈下〉 (創元ノヴェルズ)
母親で恋人で戦士で策士で指導者で娼婦、という冒険小説における女性像全部盛り、冒険小説ヒロイン版ひとりハイペリオンとでも言いたくなるカーラの造形にノれるかどうかが本作の評価を分けるはず。ここまでやるなら最後まですげえ女のまま退場させろよ!と言いたくならないではないですが、たいへん楽しく読みました。
読了日:9月25日 著者:ゴードン スティーヴンズ
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/22542951


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