傑作と言いましたが瑕疵はある。
・諜報機関はそろそろNOCリストの保安体制を考えなおすべき。レイフ・ファインズじゃなくても言いたい、「そんな危ないリスト作っちゃダメだろ!」
・マカオの女の人R.I.P.…。かわいそすぎる。いや彼女はボンドが死の危機をクリアできるかどうか試すような人なので、しょうがないんですけど。でもほら期待してシャンパンとグラス二つ用意してたり、悪い人じゃないじゃん! かわいいじゃん! もうちょっと早く来てやれよ英軍のヘリ!
・Q頼りねえな!でもそこがかわいい!すごくいい!
あとはスパイ・フィクション好きとして妄想した引用など。
ぼくの思い込みである可能性がすごく高いのですが、この映画が一番直接的にアンサーを打ち返しているのは『ザ・バンク』*1ではないか。
あの映画で、クライヴ・オーウェン演じる主人公は、組織(インターポール)では太刀打ちできない悪に対抗するために組織を離れ、アウトローの独り者として戦う。でも、イスタンブールの市場の屋根で、大きな挫折を味わって終わるんですね。
そのラストとまったく同じ場所からはじめて、とらえようのない悪も、諦めず追っていけばいつかは捕らえられる、という物語を語っているのだから、これは意識していないわけはないのではないでしょうか! どうなんだサム・メンデス!
意識しちゃうといえばやっぱり『ボーン』三部作。
己の「選択」による戦いの果てで、ボンドのまえにアルバート・フィニーが現れるところにすげえアガった! これは明らかに『ボーン・アルティメイタム』を受けての回答でしょう。
どうなんだサム・メンデス!
近年のスパイ・フィクションへの目配せもさることながら、最後の戦いのくだりは、すごく英国冒険小説っぽくって笑った。いやオレもそれほどイギリスの冒険小説を多数は読めてないのですが、間違ってはいないでしょうたぶん。
このあたり、具体的な参照作に見当がつく冒険小説好きの諸先輩は多いのではないでしょうか、と勝手に思う。昨日のぼくの勝手な妄想史観リストじゃなくて、ちゃんと頼りになるブックガイド/映画ガイド、誰かつくってないのかなー。ほんと、なんでハヤカワさんは『冒険・スパイ小説ハンドブック』を改訂してくれないのかなー(しつこいようだが実現されるまで何度でも言うよ…)。
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