こづかい三万円の日々

40代の男がアニメ、映画、音楽などについて書いています。Twitter:@tegit

『パーティのあとで』I

(テキスト版はこちら:111030-1ver3.txt 直

 終電のホームで、初音ミクに出会った。
 昨日の夜のことだ。

 ♪♪♪

 誰もいないオフィスで、最後まで灯っていた自分のデスクの明かりを消した。
 ぼくの机に溜まった書類の山、同僚たちの整頓された机の列、そして周囲の広いオフィスがまるごとすべて、暗闇に沈んで見えなくなる。このままぜんぶ消えちゃえば楽なんだけどな、と思いながら手元のケータイの電源を入れる。ディスプレイの光がほのかに足元を照らした。
 ヘッドホンをつけて鞄を背負い、ミュージックプレイヤーとAR眼鏡を起動する。響く電子音楽、中空にポップアップする半透明のAR。鼓膜と視界にぼくの好きなものがあふれて、好きだったのか嫌いだったのかよくわからなくなった自分の仕事のことを頭のなかから一発で消去する。
 ARのなかで天気予報の傘マークが明滅していたから、会社のビルを出て、空を見上げる。全天が低い雲に覆われて星は見えない。札幌には珍しい、湿気を含んだ重い空気が身体にまとわりつく。それでもまだ雨は降らないと判断してそのまま歩き出す。
 地下鉄の駅へ向かう。いつもと同じ道順、いつもと同じ疲れた身体。たぶんこれが一生続くのだという諦念。でも今夜は、明日に備えたこの夜は、そんな虚しさを吹き飛ばすわくわくがぼくの心を満たしている。
 今日と明日、札幌でミクパが開催される。ぼくは明日の夜公演のチケットをおさえていた。席番号は「あー15」、何度も確認して覚えてしまったから、そらで言える。
 ケータイを操作し、AR眼鏡にツイッターのタイムラインを表示させる。視界の下半分に半透明のレイヤーがあらわれ、数多の呟きが流れゆくバルーンとして表示される。
「ミクパ打ち上げおわったー。これから二次会です」
「天気予報じゃこれから雷雨って言ってるけどマジ? さすが雨女のミクさん、夜も荒ぶるね−」
「寝る前にも一回今日のセットリスト復習中。て寝れない! 最後のあの曲までいくまで寝れない!」
「やっぱ水ミクすげええええええええええ」
「まさかあのPが登場するとはな。表舞台に出てくるの、盗作騒動から数えて3年ぶりかー。けっこう胸熱かも」
「札幌開催五周年だけあって演出も気合入ってた!歴代雪ミク登場には震えたわ」
「ルカさんの衣装バリエってけっきょく東京から追加なし?」
「水槽のスペック分析しゅうりょー。やっぱ大阪公演よりサイズ大きくなってるわ」
 エトセトラエトセトラ。
 数時間前に終演したミクパの感想を中心に、まだ熱気冷めやらないファンたちの言葉が目に飛び込んできた。その熱を感じて、身体の疲れが吹き飛ぶようだった。
 終電のホームはそれなりに混んでいたが、盆休みだからか、穏やかな雰囲気が漂っていた。
 ホームのはしばしに、ツイッターのバルーンを頭上に表示させている人がいる。それはもちろん日常のAR風景でしかないが、今日はその多くに、ミクパのハッシュタグを示す緑色のフラッシュがまたたいていた。ミクパに行った人、明日の公演を楽しみにしている人――ぼくもその一人。
 明日への期待を込めてつぶやくとするか、そう思ってホームのベンチに空きがないか眺めていると、静かに地下鉄を待つ人たちの向こうに、緑の髪が揺れるのがみえた。
 つややかなエメラルドグリーン。
 人のあいだを抜けて、ぼくは彼女の近くに寄ってみた。緑のゆたかな髪を、大きなふたつの黒い髪飾りで頭の両脇にまとめているその髪型は、紛う方なき初音ミクのスタイルだった。服装はいたって普通のカットソーにジャケットにスカートで、どこにでもいる女の子といったふうだが、周囲より一枚上着が多いところは、どうやら道外からやってきた、札幌の涼しい夏に慣れない人であろうことを物語っている。
 どうやら、ミクパのために札幌にやってきた、筋金入りのファンのようだった。
 普段のぼくだったら、街中で見知らぬ女の子に声をかけるなんてことはもちろんしない。
 しかし、前の年のミクパの晩にも、ぼくは同じような経験をしていたのだ。相手は、関東からやってきたコスプレイヤーのカップルさんたちだった。彼らの宿はぼくのアパートと同じ方向だったので、道案内しがてら、ミクパやボーカロイドのことを話すことができた。翌日のミクパ会場で再び会ったコスプレ姿の彼らと一緒に写真を撮ったのも、とてもいい思い出だ。
 もしかしたら、またあの晩のようなすてきな出会いができるかもしれない。ぼくはARをオフにし、イヤホンを耳から外して、女の子に近づく。
「あの、もしかして」
 ――コスプレですよね、などといきなり口に出すと、違った場合に恥ずかしい。いくらこの手の文化が一般化したご時世といっても、周囲の目を気にしている人もいるのだし、ぼくは彼女の正面へ回りこんで、目配せをしてみせるにとどめた。
 彼女の目がぼくを真っ向から見つめる。髪だけでなく、瞳の色もエメラルドグリーンにしていることがわかる。
 なかなか気合が入ってますね、と言葉を継ごうとして、ぼくは違和感を抱いて口をつぐんだ。
 目の前に立っているぼくを、彼女の目はとらえていない。ぼくの後ろ側、遠くのほうを見ている。無視しているのかとも思ったが、そういう雰囲気ではなかった。嫌がって迷惑がるような素振りもまったくない。
「ええと……」
 一歩後に下がって彼女の全体を視界に入れる。
 ぼくは気づく。初めて見たその瞬間以来、表情はおろか、足元から髪の先に到るまで、彼女は微動だにしていなかった。
 表情がないわけではない。涼しげな口角がわずかに持ち上がっていて、おだやかな笑みを保っている。瞳にも、周囲の警戒を解くような柔らかい輝きがある。ただそれらが不変であるというだけなのだ。
 異様な光景だった。だが、彼女からうける「初音ミクのようだ」という感覚は、初めて見たとき以上に強くなっていた。女の子が初音ミクの格好をしているのではなく、ディスプレイの中の初音ミクの画像を切り取ってきて、現実の景色に無造作に合成したようだった。
 ――いや、彼女はミクそのものだ。
 ――ミクパのために札幌にやってきたミクさん本人なのだ。
 そんなことがふいに頭に浮かんで、ぼくはひきつった笑いを顔に浮かべてしまう。しかし、その考えを笑い飛ばすことはできない。
 ぼくは不躾を承知で、しばしその姿を見つめてしまった。
 ごおお、という地下鉄の走行音が遠くから響いてくる。
 その音にも、近づく地下鉄にそなえて乗降口近くへと動く周囲の人々にも、彼女はまったく反応しない。
 あっというまに、ホームに地下鉄が到着する。ホームで待っていた人に、息せき切って階段を降りてきた人。たくさんの人々が乗り込んでいくが、少女はそこに立ったままだ。ぼくも彼女から眼を離せないでいる。
 大音量で鳴る発車アラームと呼応するように、少女の腕で突如光りはじめたものがあった。公式デザインのミクがつけている腕のキーボードをぎゅっと縮めたようなデザインのブレスレットが、赤色の発光を繰り返している。
 くるり、と彼女が身を翻した。
 間髪おかず、ホームから上へとのびる階段に向かってまっすぐ歩いていく。
 終電を逃したらまずいという考えは、とうに捨てていた。ドアの閉まる圧縮空気の音を背に聴いて、ぼくも彼女のあとを追う。
 少女は店舗よく一歩一歩階段を登り、改札を抜け、さらに地上へ向かう。歩くみちすじに迷いがないせいか、彼女の進む速度はやけにはやい。居酒屋や閉店した銀行の看板が照らす駅前通をしばらく歩いて、脇道へ折れる。
 見失わないよう、ぼくも早足になって追いかける。
 まるで、彼女を尾行するストーカーみたいだ。
 疲れた身ながら終電を乗り逃したすえに尾行とは。自分の行動の奇っ怪さはわかっていた。さきほどホームの上で感じた思いのせいで、その奇怪な行動を止めることができない。彼女が本物の初音ミクなのではないか、という妄想だ。
 実はそれは、ぼくだけの妄想ではない。
 昨年出会ったカップルのレイヤーさんたちは、地下鉄のなかでこんなことを聞かせてくれた。
「札幌で初めてミクパが開催されたときのことよ。ミクパの前の晩、地下鉄の終電を待っていたボカロ厨が、初音ミクそっくりの女の子に出会ったという話があるの。彼女はそのボカロ厨に、自分は未来からやってきた本物のミクだ、と言った」
「ミクになりきりすぎて、頭のネジがゆるんじゃったレイヤーの話かと思うよね。でも彼女は、彼の目の前でつぎつぎに衣装を変え、宙を舞い、現実にはありえないMMD顔負けの挙動をしてみせたらしい。そして彼女は姿を消した」
「ボカロ厨も数日後失踪した、一緒に二次元へと旅立ったんだ――とか、色々な尾ひれはあるけれど、『ミクパの晩にほんものの初音ミクが札幌にやってくる』という話は、数年前のミク好き界隈じゃそこそこ有名な話だったらしいわ」
 今じゃそんな妄想話、ほとんど誰も相手にしてないけど……二人は笑っていたけれど、そう言いつつも、彼らもまたその噂の舞台を訪れるべく、終電のホームにやってきていたのだった。
 ずっと忘れていたそんな話を思い出すくらいに、少女の姿は初音ミクに似ている。
 いや、「姿が似ている」というだけなら、それこそミクパ会場やコミケなどのイベントで活躍するコスプレイヤーの人たちの、作りこんだ衣装をまとった姿のほうがミクに似ているのだ。しかしそもそも人間であるレイヤーたちが、いくら外見をミクに近づけたところで、「よくできたコスプレ」としてのレベルがあがるだけで、ミクそのものに近づくことはできない。画面の向こうで歌う初音ミク。音楽を聴きながら、リスナーが思い浮かべる空想の存在である初音ミク。それはそもそも空想であり、それぞれのファンの中にしかいないのだから、現実に生きる人間が近づけるはずがないのだ。
 ――しかし、この少女は、空想の存在であるミクにこそ似ている。
 どんな優秀なプロデューサーが調整していても、ミクの歌を聴いているときに必ず感じてしまう「人間の歌ではない」という感覚。そして、それゆえに宿る存在の重み。確かにそこに、人の魂に近いような何かがあると思えてしまう感覚。
 存在していないのに存在している、相反することを同時に味わうあの感触を、この少女はもっていた。
 少女は、駅前通にくらべて格段に明かりがすくなく、街灯がところどころに灯るだけの道を抜けていく。昼間なら、旧道庁の木々と煉瓦づくりの歩道の色調を美しく感じる界隈だが、今は街灯のオレンジが色彩を消して、一様の影におおわれている。その情景のなかを進む少女の、緑の髪だけが先ほどホームで見たときと同じ輝きをうすく放っている。薄皮一枚、現実から浮き上がってみえる輝き。
 道庁前の交差点を渡って、残業の役人を待つタクシーの列を横に見ながらまた脇道へ。道の先は植物園だ。街灯はますますまばらになっている。周囲が更に暗くなるのに比べて、少女の髪の緑は発光しているかのようにはっきりと見える。液晶画面のうえからコピーして貼りつけたみたいだった。
 きれいだ、と思った。現実にも、モニターのなかにもない、いまぼくの目の前だけにある美しさだと思った。
 彼女はどこへ向かっているのだろうか。植物園の手前に、古いホテルがあったはずだ。若い観光客にも人気の安宿だから、彼女がコスプレイヤーなのだとすればそこに泊まっている可能性は高い。
 ――そんなことはない。彼女はミクなのだ。だから、このまま西へと向かって、明日のミクパの会場である文化会館にゆくに違いない――
 とそのとき、角を曲がった向こうから、複数の人間の喚声が聞こえてきた。相当な大人数のようだ。酒を飲んだ勢いで騒いでいる雰囲気。
 ぼくはその声の響きに気圧されて、つい、足を停めてしまう。ぼくは酔っぱらいやから騒ぎするタイプの人たちが苦手だし、なにより少女を尾行している負い目がある。
 道の反対に渡ってやりすごすべきか、などと迷うぼくとは違い、少女は構わず歩き続ける。その声が響いてくるほうへ角を曲ってゆく。喚声が近づいてくる。
 ええい、と足を踏み出して、少女を追いかける。
 角を曲ると、ふいに眩しい光がぼくの目を刺した。この通りの街灯は白色LEDで、それまで歩いてきた道とは比べ物にならない明るさだ。街灯の光ばかりが視界を埋める。その照明をさえぎって、こちらに向かってくるのは、スーツ姿の若い男女が、30人くらい。
 道沿いの店での宴会を終えて、出てきたところらしい。少し先のビルの出入り口に集団の末尾がみえる。研修か何かの打ち上げのようで、堅い服装ながら砕けた雰囲気で、わいわいと言葉を交わしている。
 それまで、自分と少女だけが街を歩いているような錯覚に陥っていたぼくに、彼らの姿はやけに非現実的に見える。ぼくと同世代の彼らの楽しそうな笑顔が、暗闇のなか、LEDでほの白く浮かび上がる。快活な雰囲気に、ぼくは自分でも驚くくらいに怖気づいた。ぼくの煤けた日常とは決して交わらない、明日ある人たち。
 少女は、真正面から向かってくるその集団に気づきもしないように、まっすぐ歩調を変えずに歩いている。細い背中が見るからに頼りない。
 眩しい街灯の光のまえで、信じられないことが起きた。
 少女は集団の先頭を歩く青年に一切頓着せず、また青年のほうも彼女を認識しないまま、二人は止まることなくぶつかったのだ。そして少女は青年の体をすりぬけた。
 街灯に目が眩んで、ぼくの目が錯覚を起こしたのか。
 口をあんぐり開けて呆然とするぼくの脇を、その青年が歩いていく。その間にも、少女の体は何人もの酔っぱらいたちの体をすりぬけていく。
 よくよく目を凝らすと、人の体をすりぬけるたび、少女の体から光の粒子のようなものがわずかに後を引いて、夜の闇に散らばり消えてゆくのが見えた。
 そして、粒子を撒き散らすたびに、少女の身体から色彩と光が減退していく。
 集団の真ん中あたりまで至った彼女は、街灯の逆光のせいもあって、先ほどよりずいぶん見えづらくなっていた。
 原因はさっぱりわからないながら、少女に異変が起きていることを悟ったぼくは、慌てて彼女に追いつこうとする。酔っぱらいたちが怪訝な顔でぼくを見る。もし少女が彼らに見えていないのなら当然のことだ。しかし、そんなことは気にしていられない。
 人をかきわけて彼女に追い付くころには、もう少女の姿はぼんやりと半透明になって、向こう側の景色がほのかに透けて見えるほどになっていた。
 それでも彼女は前へ進んでいる。
 酔っぱらいたちの声が遠ざかっていく。
 ぼくはその肩に手をかけようとする。
 と、道の向こうから、猛スピードで走ってくる車の音が聞こえた。危険を感じる距離までぼくたちに近づいて、その車は急ブレーキをかけて停まる。ぼくは少女の肩ににかけかけた手を引っ込めて、それを見守る。
 車は車高が高い、運送業者や花屋が配達に使うような車種だ。ボディの脇には、痛車特有のデコラティブな色彩が踊っている。描かれているのは初音ミクのイラストだ。
 運転席のドアが勢い良く開いて、中から男が飛び出してくる。
 ぼくと同じか、すこし年上の雰囲気だ。首周りのくたびれたTシャツと、膝の出たジーンズ。やつれた頬と無精髭が目立つ。彼は歩き続けていた少女の前に立ちはだかると、「ミクさん!」と大声をあげた。
 少女は――いや、初音ミクは、その声に反応したように立ち止まる。ぼくが初めてみた、彼女が外部からの刺激に反応した瞬間だった。ミクの色彩が、少しだけ回復したように見えた。
 彼女に近寄っていった男は、その異変に気づいたらしく、慌てふためく。
「不安定な身体なのに、無茶しちゃダメじゃないか!」
 男はさらに数歩距離を置いて、その全身にきょろきょろと目を走らせる。人に接するというより、貴重な芸術品や精密機器を点検するような眼差しだ。前だけでなく、少女の周りをぐるりと巡る。
「これじゃいけない……はやく処理をしないと」
 男はミクを車のほうへと促す。彼女はおとなしくそれに従う。
 車は一見すると少々古ぼけたただの痛車だったが、車内では様々な計器や液晶表示が光を放ち、座席の周りを取り囲むようにパイプやコードのたぐいが張り巡らされていた。後ろの荷台には、一抱えほどもある巨大なボンベやら、奇妙に接合された複数のコンピュータやらが詰め込まれている。
 これはいったいなんなんだ。
 ミクそっくりの少女。
 人間とは違う挙動、そして酔っぱらいたちのなかで薄くなっていったその身体。
 そして、謎のメカを満載した車と、男。
 ――まじかよ。
 頭に血が上る。鳥肌が立つ。考えるより先にぼくは叫ぶ。
「ちょっと待ってください!」
 男がはっとした顔をこちらに向ける。
「その人はなんなんですか? 消えそうになっているのはいったいどういうことなんですか」
 今までも視界には入っていたはずなのに、ぼくは青年の意識にのぼっていなかったらしい。大声で畳み掛けられた彼は、怯んで身体を強張らせた。ぼくは慌てて説明する。
「彼女の様子がおかしかったから、地下鉄のホームからついてきてみたんです。で、やっぱりその子は――」
「いや、ええと、これはだなっ」
 男はミクを背に、彼女を隠してごまかすように手を振る。ええい、まどろっこしい。
「その子は、ほんものの初音ミクですよね!?」
 と、ミクの身体が光を増した。きわめて弱い光だが、確かに。輝度が高まり、彼女の実在感が蘇る。そうだ。そうなのだ。彼女は、
初音ミクだ……」
 ぼくは思わず声をあげた。
 男は光に気づいて振り返り、ミクの身体を確かめる。
「認識する人数は多いほうがいいってことか――なああんた!」
 今度はぼくが気圧される番だった。男はまくし立てる。
「あんた、ミクさんのことを知ってるんだな」
「え、ええ、まあ」
「ミクのことが好きか」
「え? は、はい」
「よし、じゃあ手を貸してくれ。後ろの座席が空いてる」
 そう言うと、男は助手席にミクを乗り込ませる。ドアを閉める音があたりにこだまする。男は前を回りこんで運転席へ。呆然とするぼくを再び見て一喝する。
「早く乗るんだ。彼女を助けてやってくれ!」


つづく!