いや~、キンプリ、すごかったです。評判通り。
自分の使ったことのない感覚器官をことごとく決め打ちされていく感覚、というか。いや、個々の要素――「二次元アイドル」「謎スポーツ」「BL」など――に反応する器官はそれぞれ普段からそれなりに使い慣れてるはずなんですけど、その器官が今まで刺激されたことのない方法で斬新に過剰に打ちのめされていく、というか…。一回観ただけだと、そのキンプリ的な過剰さの部分に対しては「なんかよくわからんがすごかった…尊い…」程度の感想しか出ません。
そういうわけで、基本的には、TL上とかで漏れ聞こえてきたイロモノ的で過剰な部分(例えば「尻から蜂蜜」とか)を、微笑みながら&爆笑しながら観てたんですけど、わたし、クライマックスには思わず落涙してしまったのですね。ずっと珍味を食べてたはずが、メインディッシュが何年も食べてなかった馴染みの店の定食だった、みたいな。極めて真っ当に感動いたしました。
なお、「イロモノ的な過剰な部分」だけでもぼくはこの映画が大好きです。超おいしい珍味だった。「真っ当に感動した」からいい映画だって言うわけじゃないです。ここからあとは、極めて個人的な感覚の報告です(というかぼくのブログは毎回そうですね)。
どういうことか。
この映画の中心にあるのは、絶大な人気を誇るアイドルグループの(ひとまずの)終焉と、新たなアイドルの誕生です。
さんざんブログでもツイッターでも語っている通り、わたしはそこそこに重度なμ'sとTridentのファンです。そして両者はともにこの4月にラストライブを迎えます。毎日毎日、家でも職場でも、μ'sとTridentが終わりを迎えるまであと数十日しかないんだ、というようなことばかり考えている。
そんなところに、どストレートに「アイドルの終わりと始まり」を描く映画を観ちゃったもんですから、これは刺さらないはずがない。
新たなスタァ・一条シンくんは、初めてプリズムショーを観たときのときめきを観客の心に蘇らせます。自分自身も、プリズムショーを初めて観た日からずっと、世界がきらきら輝いて見えるんだ、と笑う。
そうなのです。アイドルは自分自身が輝くだけじゃない。世界すべてを輝かせてくれる。これほどまでに輝くひとを生み出したのならば、きっとこの世界だって輝いているのだ、と信じさせてくれる。
シンくんがプリズムショーを初めて観たときのときめきを語っているとき、スクリーンには次々と『プリティーリズム』シリーズの過去の映像が映しだされます。ぼくは2011年の『プリティーリズム・オーロラドリーム』放送開始時に最初の数話を観ていただけのプリリズ素人なので、個々の映像の意味はわからないのだけれど、でも11年当時のことを思い出しました。『プリキュア』シリーズにはまって数年、徐々に女児アニメもかじりつつ、一方では『アイドルマスター』で二次元アイドルへの感情を醸成し、んでもって数年後、『プリキュア』『プリティーリズム』の3DCGダンスを経由して『ラブライブ!』にたどり着いて、ラブライバーになるに至った自分もまた、シンくんが言う、世界が輝いて見えた瞬間をかつて経験したのだ、と気づいて、心の底が熱くなったのです。ここで、「そもそも『プリティーリズム』の菱田正和監督と『ラブライブ!』の京極尚彦監督は師弟関係なわけで*1――」みたいな事実を持ち出すまでもなく、シンくんの語るプリズムショーと世界の輝きについての言葉は、恐らく、すべてのアイドルに普遍的に通用する真理です。少なくともぼくにとってはそうです。
そして、これはぼくの勝手な見立てですが、そんな彼が歌う曲が『Over the Sunshine!』という……。泣くしかねえだろ!
一本の映画として観たときには、「「輝き」はああいうわかりやすいエフェクト以外でも表現してほしかったなァ」とか、表現の面で多少言いたいこともあるんですけど、その一方で、ぼくが大好物の、「主にミュージカルシーンに行われる時間・場所の唐突な移動」がたくさん観れたので充分満腹です。
上映時間が59分なだけあって、色々な不十分さはあるのだけれど、他の過剰さで充分カバーしているんですよね。そのへん、受け手が打ち込んでほしいところに、豪速球のみを投げ込んでいく精神が見て取れて面白かったです。取捨選択の結果がはっきりわかる映画って観てて楽しい。
そういうわけで、超楽しかったっす。応援上映行くかもしんない。
劇場版「KING OF PRISM by PrettyRhythm」トレーラー(本編ver.)
声援OK!コスプレOK!アフレコOK!劇場版「KING OF PRISM」プリズムスタァ応援上映PV
*1:今回の映画もプリズムショー演出は京極尚彦