- 作者: 管賀江留郎
- 出版社/メーカー: 築地書館
- 発売日: 2007/10/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ウェブサイトで発表しているデータを分野別にまとめ、解説を加えたもの。
怒濤の如く羅列されていく戦前の少年犯罪に目がくらみそうになる。これを読んだら、俗流若者論なんて少しも信じられなくなる。いやね、これまではちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、「確かに最近の若者って(自分含め)怖いかもなあ……」なんて思っちゃったこともあったんだよね。ごめんみんな。
小さな版元*2から出た地味な本だが、今後少年犯罪について語るにはまず読むべき一冊になるだろう。
で、この本の面白さは、膨大なデータの記述の合間に、膨大なデータの観察によって形作られたであろう冷徹かつ余裕のある視点から、次のような無茶なことを言ってしまうところにもある。
最高のエリートと自負して国を憂えながらも、何の役にも立たず、少ないとはいえ食べられるだけの給料はきちんともらっている。こういう自らの立場に彼らは耐えられなかったのでしょう。
(中略)
二・二六はニート犯罪だったと捉えたほうが正しいのではないかと私には思えます。
同じく二・二六事件を扱った『攻殻機動隊 Stand Alone Complex 2nd GIG』で、革命の男たちが「童貞」と表されていたのに膝を打ったぼくとしては激しく同意したい。
攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG DVD-BOX (初回限定生産)
- 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
- 発売日: 2007/08/24
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皇軍の弱体化、現実と空想の混同は、単なる精神主義や復古主義、神憑りにあるのではなく、ブランド崇拝、ファッション優先、群れてキャピキャピなどなどのコギャル化に本質があると云う方が正確なのです。
なるほどなるほど。でもやっぱりこれって無茶だよなあ。少なくとも、俗流若者論を語るようないい加減な人たちには、「暴論だ」なんて感じで批判のとっかかりとして利用されそう。
戦後60年たって、こういうくくり方が出てきたことにぼくはある種の希望を感じるんだけれど。
とはいえ、著者にとってはこういうところは余技でしかないみたいだ。
昨今は本でもブログでもみなさんじつにいろんな方面についてご自分の考えを壮んに述べておられますが、あなた方のその立派な考察は果たしてきちんとした根拠があるのかと私は問いたい。いや、きちんとした根拠はたぶんあるんでしょうけど、それならまずその根拠のほうを先に提示して、全員で共有できるようにしていただきたい。
「管賀江留郎について、あるいは私は考えない。」*3より
考えることを放棄して、データの収集と公開に血道をあげるこの態度。格好いい。「共有」ってところがミソだ。