- 作者: ジョーサッコ,Joe Sacco,小野耕世
- 出版社/メーカー: いそっぷ社
- 発売日: 2007/04
- メディア: 単行本
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翻訳をした小野耕世も言っている通り、描く対象との距離の取り方が素晴らしい。
悲劇をストレートに盛り上げるような作劇を行えば、もっと売れるだろうに。パレスチナの人々に取材するうち、同じような「悲劇」の繰り返しにうんざりする自分、さらにはイスラエルに戻って西欧的生活を謳歌し、女性の機嫌取りをする自分すら描いてしまう率直さ。
次のように締めくくられるサイードの序文も納得の、傑作だ。
サッコの作品は、私たちが耐えきれずに、キャッチ・フレーズや嘆かわしくも見えすいた勝利と充足の物語に傾いていくことがないようにしてくれる。そしてこれこそが、恐らく彼の最大の功績なのである。