- 作者: 辻原登
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2006/04
- メディア: 単行本
- クリック: 6回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
冒険小説にふさわしく、要を射て無駄のない、しかし旨味はあふれる辻原登の文章は、有名な歴史上の人物から市井のひとびとまで、じつにかわいく描きあげる。あざやかな恋を体験する主人公たちもいいんだけど、出張先でいちいち喧嘩しちゃう田沼意次配下の侍集団とか、そういう憎めない人たちもおおぜい。江戸時代と現代をシームレスにつなげる冒頭(語り手が時間を超える「遠眼鏡」でもって江戸時代を眺めているとある風景が目に飛び込んできて..というドラえもんひみつ道具的時間旅行!)を通過してそれら魅力的な江戸の連中の動向をはらはらしつつ見守り、田沼意次がまるで現代を見てきたかのように語る平和論、国家論に心動かされる。
なんかもう無敵だよなー、辻原登。