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こづかい三万円の日々

30代の男がアニメ、映画、音楽などについて書いています。Twitter:@tegit

90年代 湾岸戦争での勝利、東欧での失敗

 1991年、アメリカを中心とする多国籍軍イラクを攻撃する湾岸戦争が行われます。この戦争は、爆撃機からの主観映像や開戦前後の現地からの報道によって、近未来的な戦争のスタイルを西欧諸国の人びとに印象づけたものの、戦争としては西側の圧倒的な勝利に終わり、以後10年間、世界の警察としてのアメリカの地位はゆるぎませんでした。
 この頃の湾岸戦争をネタにしたスパイ映画といえば『ザ・ロック』(1996)でしょうか。老ショーン・コネリージェームズ・ボンド的な役を演じてスパイ愛好家には味わい深いですし、国家に裏切られた軍人たちの姿は意外にその後のスパイ映画史に繋がりそうな気もしますがいかんせんマイケル・ベイなので底抜けに明るい。

 同じ年にユーゴスラビア紛争、92年にはボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争が勃発しており、恐らくアメリカよりもイギリスのほうがこの時代にはスパイフィクション的な世界を生きていたのだと思います。『カーラのゲーム』は非常にわかりやすくて、ボスニア紛争にうまく介入できなかったNATO陣営の罪の意識をはっきり見て取ることができます。

カーラのゲーム〈上〉 (創元ノヴェルズ)

カーラのゲーム〈上〉 (創元ノヴェルズ)

 99年にはチェチェン紛争がおきていて、これらの東欧の紛争、そしてロシアの関わりは、現在に至るまでの「おっかない東欧」「おっかないロシア」イメージの一つの起爆点となっています。
 『ピースメーカー』なんて映画もあったものの、東欧の紛争はアメリカにとってはほとんど彼岸の話のようです。それゆえに躊躇なくいじることができるのか、最近のスパイ・フィクションではよくこのあたりを出自とする悪役が登場するようになりました。一番派手なのは『コール・オブ・デューティ モダン・ウォーフェア』シリーズでしょうか。