こづかい三万円の日々

40代の男がアニメ、映画、音楽などについて書いています。Twitter:@tegit

12月に読んだ本

2012年12月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:3138ページ
ナイス数:12ナイス
http://book.akahoshitakuya.com/u/99009/matome?invite_id=99009

■007 白紙委任
ふつうにおもしろい現代スリラー、という印象で、(映画の)007好きが007小説として味わえる007だけの味わい、というのが薄め...と思っていたけど〆はちゃんとあの曲が脳内で鳴り響く俺スパイ感に満ちたものでトゥー・サムズ・アップ。/実はディーヴァーは初読で、ハラハラさせていおいて、「言ってなかったけどこういう対処してました!」というやり方で何度もびっくりさせるのはあまりスマートではないのでは、という気がしました。まあおもしろいんだけど。
読了日:12月3日 著者:ジェフリー・ディーヴァー
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/24289799

■パライソ・トラベル
前半、自分を失ったマーロンくんの描写がみごと。最後にもう一声、焦点を結び切ってほしかったとも思いますが。でもこれはこれできっと誠実なのでしょう。/コロンビアでニューヨークなんだけどひどくムラカミ的。若くない訳者による拙い若者言葉という表面的な印象のせいかしらん。
読了日:12月8日 著者:ホルヘ・フランコ
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/24289378

■やさしい女・白夜 (講談社文芸文庫)
ぎゃあなんという甘さ。『やさしい女』についてはまあ君らとりあえずセックスしておけばよかったんじゃないかなあと思うし、『白夜』はがんばれよ青年、と思うよーな中身であって、そこで終わってもいいんだけど、やはりそこだけじゃ終われない重みが言葉に宿っている小説ではあります。文豪の名と肩書きを取っ払って気楽に読み、作家と対話するような姿勢で読めばいいんじゃないかなー。で、それができる小説ってやっぱいい小説っすよ。
読了日:12月13日 著者:ドストエフスキー
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/24470308

■会社員とは何者か? ─会社員小説をめぐって
著者の小説と同じく、ゆっくりとした、寄り道ばかりの歩みが、ついに大きなうねりを経て新たな地点に至る、あざやかな論。会社員で小説が好きなら誰が読んでも面白いんじゃないでしょうか。会社で働く自分にもやもやしたことがある人なら、なんらかの光明を得られると思う。次の小説、どんなものになるんだろ。
読了日:12月15日 著者:伊井 直行
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/24469733

■発熱〈上〉 (文春文庫)
「つまり、お互いがお互いの黒幕というわけです」。蘭村のこの表現に尽きる。むろん、誰の息子でもない主人公・龍が階段をのぼってゆくピカレスクロマンでもあり、と同時にみなが同じ高度でゆきかいもする――。/それにしても、この古びたかんじはなんだろう。今から15年前の物語、ということはわかるのだがしかし。既読であり著者の作品としてはより新しい『許されざる者』が見渡す地平に比べての小ささゆえのものか。
読了日:12月16日 著者:辻原 登
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/24478439

■発熱〈下〉 (文春文庫)
20章には泣かされました…。ある男の死の瞬間を描く手さばきが美しくて美しくて。/壮大な物語のようでいて、気づいてみればある男が熱を出して再び起き上がる、というただそれだけのお話。その清々しさ!読むものもまた、熱を出して治ったあとのような軽やかな気だるさと快さに包まれる。/なおぼくは金融については門外漢ですが、謀略・諜報小説としての味わいは一級であること、保証いたします。
読了日:12月19日 著者:辻原 登
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/24947322

グレート・ギャツビー (新潮文庫)
バズ・ラーマンによる映画化の予習として読んだ。端から端まで、はかない光の詰まった完璧な小説だと思った。書き手やギャツビーたちとほぼ同年齢で読めたことを幸せに思う。ワイシャツの山、遠くの緑の光、「過去はくりかえせない?もちろん、くりかえせますよ!」…なんという豊かさ、なんというきらめき。翻訳、そして解説ふくめ最高の一冊。
読了日:12月22日 著者:フィツジェラルド
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/24615147

■99999(ナインズ) (新潮文庫)
『ネヴァーシンク貯水池』が好き。/スケッチという印象が強く、商品としての短編には至らない作品もいくつか含まれる。それを良いとするか否かは趣味によって分かれるところでしょう。冷静な観察と、それでも捨て切れない青さが一瞬一瞬できらめくところこそがこの作家の美点とすれば、その未完成な雰囲気もまたよし、といったところ。
読了日:12月26日 著者:デイヴィッド ベニオフ
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/24947528

■人質 (講談社文庫)
『強盗こそ〜』『流刑の街』のボストンを舞台にした二作に比べるといっけん大きく異る印象ですが、善きことを目指しながらも内なる獣を抑えきれないでいる主人公、憎むべき暴力漢でありながらもどこかこちらを魅了してくる悪役など、共通する要素は多い。終盤に向けて、主人公がどこか抽象的な正義を背負って鈍く輝いていく(ある種の聖性みたいなものを背負う)ところは特に。ホーガンの前述二作が好きな人以外に特段大プッシュするような小説ではないですが、ぼくは好きです。
読了日:12月30日 著者:チャック ホーガン
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/24947714


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