こづかい三万円の日々

40代の男がアニメ、映画、音楽などについて書いています。Twitter:@tegit

バンテージ・ポイント

 合衆国大統領が、スペインでの国際会議の最中に狙撃される!
 大統領の暗殺というこれまで何回も描かれ使い古されたネタを、8人の登場人物それぞれの視点から順々に繰り返し語るという方法で蘇らせた力作。
 時間軸を大胆に操作するサスペンスということで、『メメント』あたりとも比べられるかもしれないけど、味わいとしてはオーソドックスなグランド・ホテル形式という感触がした。ここにハリウッドアクションの具材を投入するというアイディア、むしろ今まで何で誰も思いつかなかったのかと不思議に思う。


 監督は新人のピート・トラヴィス
 各所で『ボーン・アルティメイタム』のポール・グリーングラスと比較する向きがあるけれど、アクション構築に関しては、こちらのほうがわかりやすさを重視していて好感が持てる。グリーングラスほどの作家性を持ったアクション映画の作り手になれるかどうか、については次回作で判断したい。
 なにしろ、本作の編集は『エクゼクティブ・デシジョン』のスチュアート・ベアード*1史上初めてセガールを殺した男の力を借りればそりゃ面白さ5割増であろうよ。


 ところで、毎回映画のことを書いたときはyoutubeの予告編を貼っておくのだが、本作に関しては予告編は観ないほうがよい、と言いたい。出来のいい格好いい予告編なんだけれど、一部、中盤の大きなサプライズを明かしてしまっている。日本人ならともかく、英語圏の人たちはちょっと興が冷めちゃったんじゃないかなあ。

*1:『カジノ・ロワイアル』もこの人だったのか。そりゃ面白くなるよね