西村健の後なら、どんな文体も鼻につかないよ! というわけで、積んであった村上春樹を立て続けに読んでいる。
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/11/16
- メディア: 文庫
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ぼくの(そして世の多くのアンチ村上派の)嫌悪する村上春樹の汚点ってのは、何かを語っているようで結局どこへも到達しない*1ことだと思う。この小説はそうなっていないし、物語の終盤では、登場人物がこんなことまで言ってしまう。
「なあ、ジェイ、駄目だよ。みんながそんな風に問わず語らずに理解し合ったって何処にもいけやしないんだ。こんなこと言いたくないんだがね……。俺はどうも余りに長くそういった世界に留まりすぎたような気がするんだ。」
無条件に村上春樹(の雰囲気語り)を賞賛する人たちに聞かせたいせりふだねえ。片山恭一とかさ。
で、余談になるけれども、ピンボール探索譚のくだりは、アメリカのオタクが伝説的ゲームを探してさまようD・B・ワイスの『ラッキーワンダーボーイ』を連想させた。
- 作者: D・B・ワイス,鈴木豊雄
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2005/09/09
- メディア: 文庫
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*1:到達しないことに価値を見出す気持ちも、ま、わかるけども。ただ、結局どこへも行かないとしても、出発点に自分はいるんだ、と訴えることは可能なわけで、それすらも忌避するのは卑怯でしょ。