こづかい三万円の日々

40代の男がアニメ、映画、音楽などについて書いています。Twitter:@tegit

そこで戦わないでどうする『劇場版 エスカフローネ』

 NHKBSHIにて鑑賞。
 オープニングの飛空挺急襲で心を掴まれ、主人公ひとみの青臭い悩みっぷりにもきゅんときたが、その後の駆け足な展開が残念。
 テレビ版の総集編だからこういう作りになったわけでもないらしいし、もうすこしひとみとバァンの交流を細かく描いてほしかった。
 なんとなくむっと来るのはクライマックスの決闘で、世界の命運を分けるバァンと兄の確執が、第三者の手によって断ち切られることになる。この結果戦争が終わったとしても、バァンは決して平穏な心を取り戻せないんじゃないかなあ。この作品が公開された2000年当時、18歳の自分だったら、「大人がおれたちの戦いに口出すんじゃねえ!」と叫んでいたとおもう。

 そんな脚本の至らなさを補って余りあるのが異常にレベルの高い作画と色彩だ。ハイビジョンで観たおかげもあろうが、青、紅、群青と鮮やかな表情をみせる空にはじまり、人物たちの流麗かつ生々しい動き、スペクタクルシーンの描きこみなど、美しい絵の連続にため息をつき通しだった。