とんでもなく歌がうまい少女と少年が出会ったとき、高校は舞台になる! お気楽極楽ティーンミュージカル。
本作でスターダムにのしあがったザック・エフロンくんがのちに主演した傑作ティーンミュージカル『ヘアスプレー』を観たあとでは、ミュージカルとしては非常に物足りない気分になってしまう。
まともに歌なんて歌ったことのない高校生二人が、高校のミュージカル・オーディションに挑戦する、というのが物語の中心となっているが、肝心のミュージカル劇自体は描かれない。主なミュージカルシーンは、ステージ上で主人公二人が見つめ合いながらマイク片手に歌う情景なので、つまらないことこの上ない。アイドルのプロモーションビデオ程度の面白みしかないのだ。
これらにくらべればむしろ、二人のライバル:アシュレイ・ティスデイルと ルーカス・グラビールが演じるミュージカルシーンのほうが輝いてしまっている。最終的に敗れてしまう彼らが可哀想になるほど。
とはいえ、今まで誰も思いつかなかったのが不思議なくらいに魅力的なティーン・ミュージカルという鉱脈を掘り当て、ザック・エフロンとヴァネッサ・ハジェンズという二人のスターを送り出したことは特筆に値する。
また、ディズニー特有の毒気のなさも、最後のミュージカルシーンで爆発する「みんなハッピー」な幸福感のためと思えば許せる。ラスト5分で、いままでいまいち個性が発揮されていなかった脇役たちの個性が炸裂して、伏線が回収されていくさまは非常にすばらしい(ずっと帽子をかぶっている女子作曲家オレーシャ・ルーリンとか*1)。
(スクリーンの外に追いやられる「敵」をべつとして)誰も不幸にならない、みんなハッピー、一緒にハッピー。週末に2時間の映画を観終わって感じたい気持ちはこれだろ、と自信満々に差し出される幸福感。
多少の抵抗感はないではないけれど、ま、週末くらいはいいだろ。来週は『2』を観ようっと。
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