こづかい三万円の日々

40代の男がアニメ、映画、音楽などについて書いています。Twitter:@tegit

校長の話は長い『レッド・クリフ』

 われらがウー校長((c)ギンティ小林)最新作は三国志中のエピソード「赤壁の戦い」を描く歴史大作。
 冒頭から、関羽張飛といった歴史音痴のオレでもきいたことのある豪傑たちが「これなんて『戦国無双』?」と言いたくなるムチャな戦いを繰り広げてくれる。ウー校長の「史実なんぞ糞食らえ! 活劇万歳!」という喝が聞こえてきそうです。

 ただし、その活劇感を、二時間半のあいだダレることなく維持するには、たとえばピーター・ジャクソンのおたく心のようなこだわりがないとダメなわけで、合戦シーンのはしばしに「協力:中国人民解放軍のみなさん」というテロップが見てとれそうなテンションの低さが露呈してしまうのは非常に残念*1

 肝心の活劇感にしても、クライマックスの合戦は三国志好きの中学生がえんえん自慢げに自分の考えた作戦を語っているかのような間延び感が高く、その中でどんなに豪傑たちが活躍しても、整えられた場で遊んでいる中学生にしか見えない。そもそも敵が強そうじゃない。越えられない敵を倒してこそ活劇でしょうよ校長!

 劉備たちの民への熱い思いは「道徳」、キメキメなアクションシーンの「体育」、周瑜孔明が琴でジャムれば「音楽」、さらにはちょうキュートで確かに彼女のために一国を滅ぼしたくもなっちゃう小喬(リン・チーリン)で「保健」も、とウー学校カリキュラム的には確かにこれまでの総決算といった雰囲気ではある。
 でもやっぱり勢いないし話長いよ! 校長先生、ぼくたちそろそろ疲れたよ!というころに、「以下続編にて!」というテロップがとつぜんあらわれる。そうか授業は明日も続くんだな……という倦怠感をちょっぴり味わう、まあこれはこれでウー学校ですね、という映画であった。

*1:この点、『ブレイブハート』のメルギブは偉大だなあと思う