世界中で絶大な人気を博す米ドラマシリーズの映画化。四人の女がニューヨークでだいかつやく!
ドラマ版は未見。ブランドで身をつつむニューヨークの仲良し女四人組が、恋愛その他に右往左往、という筋書きには正直反感を覚えてしまったが、『プラダを着た悪魔』で「女子映画に傑作あり」と学んだので、食わず嫌いは控えて妻と一緒に観に行った。
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2008/04/16
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結論から言うと、これはいい映画だ。
魅力的な登場人物によく練られた脚本、きらびやかなファッションとニューヨークの風景。娯楽映画に求められるすべてのものが詰まっている。
女性が共感できる、ということはすでに多くの人が語っているが、男性が観ても面白い映画だ。主人公四人組のパートナーたちは、決して女性から観た理想の(あるいは貶められた)偶像にはなっていない。男性観客も膝を打つであろう、男特有の悩みや弱さ、心の動きがきちんと描かれている。サラ・ジェシカ・パーカー演じるキャリーの前から結婚式当日に姿を消そうとするジョン(クリス・ノース)なんて、男性の結婚に対する困惑感を実にうまく表現していた。
もちろん、どんなに共感できるとしても、これは娯楽映画であって、実際の人生とは違う。
観客にとって、キャリーたちはどこにでもいて、どこにもいない理想の四人組。男にとってのバットマンやスパイダーマンと同じようなものなのだ。映画のなかのニューヨークも、ゴッサムシティのようなものだろう。
ドラマを観ていたアメリカの女性の多くはニューヨークに一度も行ったことはないだろうし、日本人たるこのぼくも然り。
日常にうんざりする26歳のサラリーマンとしては、ツッコミをいれたいところはたくさんある。毎日楽しそうでいいっすねえ、と思う。そんな暮しできるわけあるかい!と言いたくもなる。
でも、それは野暮というもの。アメコミヒーローの存在を笑うことが愚かしいのと同様、彼女らの活躍を楽しむのに、卑しい「リアリティ」の物差しは必要ない。
自分たちより一つ上のフロアで輝くヒロインたちの姿に励まされ、ああ面白かった明日もがんばろう、そう心に刻んで劇場を出る。男たちがヒーローの熱い戦いからもらう勇気と、女たちがこの映画から得るものは、きっと同じたぐいの素敵なものなのだ。
映画の最後はこんなふうに終わる。
いつものように集まるキャリーたちからカメラが離れて、バーの外が写される。バーの入口に並ぶ、四人組より一回り若い、いままさに若い友情を育みつつあるニューヨーク娘四人。バーの前を颯爽と歩いていく、またほかの四人組……都市には今日もまたあらたな四人組が生まれる。
ぼくにはこの演出が非常にヒーロー映画ちっくに思えて、心の中で拍手喝采したのだった。かっこいい!