こづかい三万円の日々

40代の男がアニメ、映画、音楽などについて書いています。Twitter:@tegit

映画

2009年の映画ベスト10

昨年劇場で観た新作は合計43本。本数は例年通りだけれども、TBSラジオ「ウィークエンドシャッフル」等を参考に評判のいい映画をたくさん観たので、充実した一年だった。観逃しちゃまずい映画はそんなにたくさん観逃していないと思うし。ま、観てない話題作は…

でもアメリカの映画界はすばらしいよ、と言いたいわけではない

たとえば、2008年の全米映画興行成績トップだった『ダークナイト』について、日本でヒットしなかったことを嘆く人が多い。「あれだけ暗く深い物語をみながこぞって観に行くとは、アメリカはすごい。それにくらべて日本人は...」という論旨の人。 でも、…

ぼくも子供を育てるべきだろうか『26世紀青年』

原題は"Idiocracy"。 冬眠実験から目覚めてみたら、26世紀のアメリカはバカばかりの国に!という大変おそろしい映画である。すでに随所で絶賛されている作品なわけで、遅ればせながらようやくの鑑賞。 バカばかりになったアメリカの描写はじつに気が利いて…

終盤がすばらしい『パブリック・エネミーズ』

『アリ』も『インサイダー』も観てないぼくが言うのもなんですが、ここ最近のマイケル・マン作品って、音楽のかっこよさのおかげで他の映画より一段高く評価されているんじゃないか。特に、予告編でのかっこよさは異常。『マイアミ・バイス』だって、この予…

だいじなのはマリファナより友情です『スモーキング・ハイ』

みんな大好きジャド・アパトウ製作、主演はこれまたみんな大好き『スーパーバッド』の脚本を手がけたセス・グリーン。ドラッグディーラーに命を狙われる羽目になった二人のボンクラの逃走劇を描くコメディアクション。 アパトウ作品ってとかく評判高いけれど…

シアターキノと『マイマイ新子と千年の魔法』

昨年末、シアターキノのウェブサイトをのんびり観ていたら、掲示板*1で上映リクエストを受け付けていてびっくりした。市民出資の開かれた映画館だっていうことはおぼろげながらわかっていたけれど、まさかそこまで開かれているとは。しかも上映を検討した結…

真実とはなにか『戦場でワルツを』

http://www.waltz-wo.jp/ シアターキノで鑑賞。入りは20人くらい。今年2月のアカデミー賞外国語映画部門で『おくりびと』と賞を争った作品のうちの一つ。個人的には、候補作のなかで一番観たいと思っていた映画だった。 下馬評でも本命視されたくらいに『お…

『東のエデン 劇場版I The King of Eden』

http://www.juiz.jp/ 1月1日、スガイ札幌劇場にて。 前半、テレビシリーズのあの圧倒的な密度のサスペンスはいずこへ、と嘆きたくなるくらいにまごついた演出が続く。でも、大卒でもろくにアメリカ人と会話ができないダメダメヒロイン:咲ちゃんこそ、ぼくら…

これなら東宝特撮のほうがいいなあ『2012』

『ID4』を中学生のときに観て熱狂したオレとしては、大味だからとエメリッヒを責める意見に安易に加担したくないんだけど(だからいいんじゃないの、と思う)、でも今回みたいにその大味がマイナス方向にしか貢献してない場合はしょうがない。いろいろな無頓…

『イングロリアス・バスターズ』

タランティーノの映画は『レザボア・ドッグス』と『キル・ビル』しか観ていないぼくが言うのもなんですが、彼の映画のなかでは一番面白かったっす。『トゥルー・ロマンス』は除く。 終盤、登場人物たちがその後の歴史を知っているかのように立ち回り、改変し…

飛行船はそれでいいのか『カールじいさんの空飛ぶ家』

3D映画初体験。なるほどなかなか楽しい体験ではあるが、映画観ががらりと変わるほどではなかったかなー。フレームの大きい眼鏡をつけて観たので、3D眼鏡との相性が悪かったかも。 で、本編。「愛する妻が死にました。だから私は旅に出ます」という今年最悪の…

『マイマイ新子と千年の魔法』上映存続署名

アニメライターの廣田恵介さんの呼びかけによる『マイマイ新子と千年の魔法』上映存続署名が明日7日から受付開始となる。 廣田さんのブログにおける紹介記事はこちら。 ぼくが住む札幌では、札幌駅の札幌シネマフロンティアで16時10分からの回が11日まで行わ…

『マイマイ新子と千年の魔法』

アニメ映画を観るとき、その圧倒的な絵空事のまえで、ぼくは空想の中に全身を放り投げたい欲求にかられる。けれども空想だけに生きてはいけない、空想を全力で信じる人にとって空想は現実と等価で、ならば空想だけで生きることは現実の前に屈するのと同じだ…

『放課後のカリスマ』と"Clone High"

(『くもりときどきミートボール』の)監督は、米軍の実験によって創り出された歴史上の偉人たちのクローンが通う高校を舞台にしたテレビアニメ・シリーズ「クローン・ハイ」のクリエイターとして知られるフィル・ロードとクリス・ミラーのコンビです。 9月1…

ブレイド先輩は助けてくれない『30デイズ・ナイト』

30日間闇夜に閉ざされるアラスカの寒村に、獰猛な吸血鬼の群れが現れる。スティーヴ・ナイルズの同名コミックの映画化。30デイズ・ナイト (アナザー・パラダイムシリーズ)作者: スティーブ・ナイルズ,ベン・テンプルスミス,桑原あつし,クリスチャン・スト…

悪者はかならず捕まる『インサイド・マン』

インサイド・マン 【プレミアム・ベスト・コレクション】 [DVD]出版社/メーカー: UPJ/ジェネオン エンタテインメント発売日: 2009/07/08メディア: DVDこの商品を含むブログ (5件) を見る 『セントアンナの奇跡』の予習として鑑賞。恥ずかしながらスパイク・…

おもちゃ映画夏の陣その二『G.I.ジョー』

ザ・グリード [DVD]出版社/メーカー: パイオニアLDC発売日: 2003/02/21メディア: DVD クリック: 27回この商品を含むブログ (28件) を見る ぼくにとってスティーヴン・ソマーズといえば『ザ・グリード』で、五体満足で死ぬかぼろぼろになって死ぬか胃液で溶か…

部活に命かけてます『チアーズ!』

先日の記事「女子大生がビキニ姿で洗車することの歴史的正当性について」のブコメにて、id:vertigonoteさんに教えてもらった映画。洗車ネタが出てくるというだけでなく、映画ぜんたいが非常に楽しい、傑作学園映画でありました。ていうか自分、『ハイスクー…

ダークナイト・リターンズ・トゥ・名古屋『リミット 刑事の現場2』

もっか放送中のNHKドラマ『リミット 刑事の現場2』http://www.nhk.or.jp/nagoya/keiji2/がすばらしい。 舞台は名古屋。森山未来演じる若手刑事・啓吾は、栄えある中央署刑事課に引き抜かれるが、問題刑事・梅木(武田鉄矢)と組まされる。 まずはこの梅木と…

プロヤスよお前もか!『ノウイング』

『ノウイング』を観た。腹立たしい。たいへん腹立たしい! 『ダークシティ』『アイ,ロボット』と、センス・オブ・ワンダーに満ちた絵を披露していたアレックス・プロヤスが、まさかそっちの人だったとは。オカルト結構、ファンタジー上等。宗教色が強くった…

この夏最強の映画『サマーウォーズ』

『サマーウォーズ』http://s-wars.jp/index.htmlを、昨晩、試写会で鑑賞した。いまだ興奮が冷めていない。 『エヴァンゲリオン新劇場版:破』に続いて、こんな傑作アニメを同じ年の同じ月に観てしまってよいのでありましょうか。こりゃあ今年の運もすべて使…

映像も成長している『ハリー・ポッターと謎のプリンス』

試写会で『ハリー・ポッターと混血のプリンス』『ハリー・ポッターと謎のプリンス』を観てきた。 原作の第一巻が日本で発売されたのが、ぼくが高校生のころだったはずだが、あれから十年近く経って、ダニエル・ラドクリフをはじめとする俳優陣の成長ぶりを眺…

女子大生がビキニ姿で洗車することの歴史的正当性について

アメリカ・フロリダ州で、美女たちがビキニ姿で洗車サービスを行った。 彼女たちはマイアミ市のフロリダ国際大学に通う学生で、在籍するチアリーディング部が不景気で廃部の危機に立たされている。そこで、金を集めて何とか部を守ろうと、この試みを始めたと…

人形映画の新作

『ラースとその彼女』も未見なぼくだが、昨日映画館でこの映画のチラシをみつけて興奮した。 http://www.kuuki-ningyo.com/index.html ペ・ドゥナかわいいよペ・ドゥナ。 監督が是枝裕和なのだから、見ごたえのあるいい映画が期待できるが、いっぽうで、いい…

設問としての映画『精神』

すさまじい映画だ。 心身ともにぐったりするくらい、重い問いを投げかけてくる。なのに、おもしろい。 ナレーション、テロップ、BGMは一切なしで、ある精神科診療所の情景が二時間強映し出される。監督は『選挙』で知られる想田和弘。宇多丸師匠のウィークエ…

ストーリーテラーたち

しがない営業職で糊口をしのいでいるぼくだが、時折、自分の仕事は物語をつくることではないか、と思うことがある。 商品が開発された経緯を語り、商品が客のところに届けられる由来を語り、購入することで客が得るであろう未来を提示する。商品にまつわる膨…

イーストウッドだけが到達できる唯一無二の境地『グラン・トリノ』

世間的には大傑作と評判だけれど、個人的にはそう騒ぐような映画ではなく、静かな印象を残す良作、というふうに思えた。この映画をいいと思ったなら、映画について騒ぐのじゃなくて、自分の人生のうえで何かをしなくちゃいけないと思うようになるのだ...って…

『けいおん!』の十倍萌える! ガールズバンド映画『プッシーキャッツ』

話題のアニメ『けいおん』を観始めた。軽音楽部に所属する女子高生四人の日常とバンド生活を描く非常にかわいらしい作品である。澪には心の底から萌えた。第四話以前を見逃したことを後悔している。京都アニメーションと作画監督の堀口悠紀子は『らき☆すた』…

轟く紀里谷節・進むシャマラン化『GOEMON』

『CASSHERN』に続く紀里谷和明監督第二作。 意外にも前半はじつにテンポよく話が進む。織田信長にまつわる謎の箱の正体が明かされるあたりまでは非常に面白く観た。人物紹介の手順や、コミカルなアクションの見せ方など、前作に比べると実にうまい。いやあく…

ノーランの魂百まで『フォロウィング』

フォロウィング [DVD]出版社/メーカー: アミューズ・ビデオ発売日: 2002/05/22メディア: DVD購入: 1人 クリック: 11回この商品を含むブログ (38件) を見る 尾行を趣味とする男の破滅を描く、クリストファー・ノーランのデビュー作。平日は定職に就きながら、…