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こづかい三万円の日々

30代の男がアニメ、映画、音楽などについて書いています。Twitter:@tegit

「向こう側」へ行く/新海誠監督の話を聞いて『何者』を観たこと

今日は『言の葉の庭』を観て、新海誠の話を聞き、そして『何者』を観ました。これってけっこうすげーいい体験だったのでは?と思ったので、簡単に記事を書きます*1。 明日は川田十夢後輩と一緒に中央大学でトークショー。大学生気分を蘇らせるために映画『何…

ぼくは「ガルパンはいいぞ」と言わず「ガルパンはおもしろいよ!」と言う/『ガールズ&パンツァー 劇場版』二回目

立川シネマ・ツーで『ガールズ&パンツァー』(極上爆音上映)を観てきました。二ヶ月ぶり二度目。 隣のお客さんが初めて劇場版を観たらしく(上映前の会話をぼんやり聞いていた)、最初に砲撃の轟音が劇場内に響いて身体に伝わってきたとき「ふわあ……」みた…

世界はきみの夢/『ガラスの花と壊す世界』

ぼくのフィクションの分類棚には「長い夢みたいなやつ」という区分がある。 長く、濃密で、鮮明な夢。物事が断片的にしか語られない。時間も場所も跳ぶ。しかしそれらは継ぎ目なしに繋がっていて、一瞬一瞬の情報量は過密で、覚醒してしばらくはそれらがすべ…

ぼくは「ガルパンはいいぞ」とは言わない/『劇場版ガールズ&パンツァー』

ガールズ&パンツァー 劇場本予告 『劇場版ガールズ&パンツァー』を観てきました。 年末年始にテレビ版12話+OVAを観て予習を済ませ、立川シネマツーの極上爆音で鑑賞。 テレビシリーズは初回放送時に一話だけ観ていました。戦車道という大嘘を、空母上の学…

2015年の映画ベスト10

昨年は合計56回映画館で映画を観ました。うち9回は同じ映画の再見*1。また現時点で『スターウォーズ フォースの覚醒』『劇場版ガールズ&パンツァー』『クリード』と多くの人が年間ベストワンに選びそうなものを観ていない状況です。 母数をもっと増やすべき…

立川シネマ・ツー、ナメててすまんかった/『May'n THE MOVIE Phonic Nation 3D』

立川シネマ・ツーで11月14日・15日と限定再上映している『May'n THE MOVIE Phonic Nation 3D』を観てきました。公開時に観逃してたし、立川の音響なら楽しそうだなー、というくらい軽い気持ちで行ったんですけど、行ってよかった観てよかった。すばらしかっ…

「お前はわたしを殺しに来たのか」/『PAN』

ここ数日個人的にとても疲れているので、ほかの人にとってどうだかは知らないけれど、『PAN』がすさまじくこたえたので書いておく。 主人公ピーターが生きるのは第二次世界大戦中のロンドンである。ドイツ空軍の落とす爆弾が街を焼く時代。意地悪な大人たち…

Cadenzaが抱える最大の欠落について/『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- Cadenza』セカンドレビュー

みなさん、『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- Cadenza』*1はご覧になりましたか。公開開始から二週も経っているのにぼくはまだ観れていません。先行上映で二回観たけどやっぱりちゃんとお金を払ったふつうの映画館で観たい――いや、先行上映会だってお金…

祝公開!『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- Cadenza』ファーストレビュー

映画/映像の歴史には、技術と題材が幸福な出会いをするタイミングがいくつもある。ここ最近でいえば、『ターミネーター2』や『ジュラシック・パーク』、『スパイダーマン』、『ロード・オブ・ザ・リング』といったあたりでしょうか。『蒼き鋼のアルペジオ…

物語に満たされて生きていくということ

昨日、『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』シリーズの劇場版二作品一挙上映会に行ってきました。新作『Cadenza』を一般客が映画館で鑑賞できる初めての機会とあって、バルト9のスクリーンは当然満員。上映終了後には大きな拍手が響きました。 上映後に…

走れ、跳べ、理想を求めて/『ラブライブ!』と『マッドマックス』

『ラブライブ! Schol Idol Movie』をTOHOシネマズ日本橋で観てきました。六回目。*1 この一週間ほど、『マッドマックス4』と『ラブライブ!』の雑な比較に対して激怒し、並べて語るならまずはこのくらい考えておけよ、そして考えたらあんな雑なこと言えな…

『マッドマックス』と『ラブライブ!』を並べて語るならまずこのくらいは考えておけよというご提案

♪♪♪ <2015/08/02追記> 『ラブライブ!』と『マッドマックス』について、自分の思うところをまとめた文章を書きましたので、こちらも読んでいただけると嬉しいです。すごく。「走れ、跳べ、理想を求めて/『ラブライブ!』と『マッドマックス』」 http://d.…

楽しさの先の先/穂乃果中心に観る『ラブライブ! The School Idol Movie』

(穂乃果といえばこの曲かな、というわけで。) 三回目を観てきたので、三回目の記事を書きました。ネタバレしてます。 今回の映画、もちろんμ'sの映画ではあるんですけど、穂乃果の子供時代に始まり、エンディングロールの最後が穂乃果のTシャツで終わる以…

永遠に終わらないジャンプ/永遠に終わらない映画『ラブライブ! School Idol Movie』

前回(http://d.hatena.ne.jp/tegi/20150613)はネタバレなしで書いたので、今回はネタバレ全開、踏み込んで書きます。あと、イーサン・ホーク主演の某SF映画のネタバレも含んでいます。洋画好きも注意。 『ラブライブ! School Idol Movie』は、とても誠実…

いつだって飛べるよ『ラブライブ! School Idol Movie』

『ラブライブ! School Idol Movie』を観ました。 「こんな映画だったらいいなあ」と思っていた期待を、ぼくの想像しなかったやりかたですべて叶えてくれたという印象。 具体的なことを話すのはまだ早いタイミングなので、物語とアイドルと理想の話、みたい…

『ジョーカー・ゲーム』はなぜ明るいスパイ映画なのか

『ジョーカー・ゲーム』、期待どおりの楽しい映画でした。 「傑作」という言葉を使う映画ではないけれど、すごく「楽しい」スパイ映画。 入江悠監督がさまざまなインタビューで言及しているとおり、この映画の立ち位置を海外のスパイ映画に照らし合わせて言…

2014年のスパイフィクション十選

本ブログとは別に作っている「スパイフィクションリスト」では、「早川の『冒険・スパイ小説ハンドブック』のアップデート版」を目標に地味にその折々のスパイフィクション(小説、映画、ゲームなど)を少しずつ紹介しています。「リスト」と銘打ちつつも、…

この映画のことが大すき。『思い出のマーニー』

すばらしかったです。 プリシラ・アーンの主題歌を流す予告編を先日初めて観たとき、ちょっとびっくりしました。主人公・杏奈によるこんな独白があるのです。 この世には、見えない魔法の輪がある 輪には内側と外側があって、わたしは外側の人間 でもそんな…

『カクテル』

『ハスラー2』と同様、こちらも、凄腕の先達に若きトムが弟子入りするお話。1988年の『カクテル』です。監督はロジャー・ドナルドソン。 兵役を終え、ニューヨークにやってきたブライアン(トム・クルーズ)。金融業界での成功を夢見ていましたが就職活動が…

『ハスラー2』

で、そんな名作『ハスラー』の25年越しの続編が『ハスラー2』でした。監督はマーティン・スコセッシ!予告編も超クール! 前作のラストで勝負師としての命運を絶たれたエディは、酒の卸問屋として細々と食いつないでいました。初老の域にさしかかり、新たな…

番外編『ハスラー』

ま、そんな『トップガン』の退屈さも、同じ1986年に『ハスラー2』にも出てるんだから完全帳消しかもしれませんね。その『ハスラー2』の前作が、1961年の『ハスラー』であります。監督はロバート・ロッセン。 ぼくはいずれも未見だったので、まずは『ハスラ…

『トップガン』

1986年作品。同年の全米興行収入一位、日本での洋画興行収入一位だったそうです。でも退屈なもんは退屈だ! きっとこの退屈さが、今に続くトム・クルーズ&監督のトニー・スコットがナメられる一つの要因なんだろうなあ。 ぼく、テレビとDVDで何回か観て…

トム・クルーズレトロスペクティブ 第二回

トム・クルーズがサイエントロジーに関わり始めたのは1990年ごろのようでして、それを知ったうえで80年代の作品を観てると「この頃は無垢だったんだな…」という気分になって嫌ですね。 個人的には、サイエントロジーへの傾倒はバカだなあと思うけど宗…

『卒業白書』

1983年作品。トム・クルーズ初の主演作にして、ゴールデン・グローブ賞主演男優賞にもノミネートした大出世作。 映画序盤で、親が旅行に出かけた家で開放感を満喫するトムが、白ブリーフ姿で踊り狂うシーンが有名とのこと。『マグノリア』でもブリーフ姿…

トム・クルーズレトロスペクティブ 第一回

トム・クルーズが好きだーー!!! と、日頃からトムクル様トムクル様と(時折半笑いで、時折据わった目で)崇め奉っているわけですが、恥ずかしながら未見の主演作も多いわたくし*1。ここ最近の、自身のキャリアを常に参照しながら自己言及的に演じることで…

今こそ読もうグレイディ!全邦訳長編レビュー

『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』観ましたかみなさん。すばらしかったですね。 アメコミヒーロー映画としても当然ですが、スパイフィクションとしても大傑作なこの映画、スパイ者として注目するとなるとやはりまずは名優ロバート・レッドフ…

2013年の映画ベストテン

2013年、劇場で観た新作映画は55本でした。 DVDほかの旧作は16本。 例年以上に順不同としたい気持ちが強い、その日によっていくらでも入れ替わる順位です。 また、「俺が挙げずに誰がやる」という映画の多さも例年以上ですね。 10位『ライフ・オブ・パイ』 …

スティフラーは偉大なり『アメリカン・パイパイパイ!完結編 俺たちの同騒会』

ぼくは家族の名を汚している。 スティフラーはわが名...わが遺産、わが呪い。 ――エリック・スティフラー 『アメパイ』は『スター・ウォーズ』にも比する壮大なサーガなのである! ――長谷川町蔵*1 1999年のシリーズ第一作『アメリカン・パイ』から十数年。高…

学園映画の傑作『クロニクル』

『アメリカン・パイパイパイ!』公開に向けてアメリカの学園映画のことを考えている時期に観たので、SFとしてよりも、学園映画としての美点がつよく印象に残りました。 もっとも「うまいなー」と思ったのは、主人公がカメラで撮影していると「キモいから止…

ぼくの父さんはどこ? 『オン・ザ・ロード』

映画はつぶやきのような歌ではじまる。放浪する我が身、そして旅先で出会った同じく放浪する死にかけの父親の歌。 物語の冒頭、主人公サルは父親の死に打ちのめされている。父が最後まで自分を認めていなかったことにも。 サルがとらわれる放浪の男ディーン…

ジブリ美術館で、仕事のことばかり考えていた

一昨日、ジブリ美術館に行ってきました。8月の頭にわーっと衝動的にチケットを取ったら、偶然にも宮崎駿引退会見の日にあたってしまった。 夏期休暇をとっていたんですけど、そう簡単には休めず半日仕事をして、しかもこういう日に限って今後しばらくの間へ…

神と子のお話『マン・オブ・スティール』

スーパーマンのお話というのは、まあたいへんオーソドックスな貴種流離譚です。強大な力をもった英雄への畏れと、そんな英雄でも人の心を解し、愚かな人間を導きともに楽しく過ごしてほしい、という希望によって形作られるドラマ。半分神、半分人間という出…

バカに見えても色々考えてんだからな!『ホワイトハウス・ダウン』

すばらしかったです。映画館で二時間ずっと、満面の笑みで過ごすことができました。こんな楽しい映画が観れるとは、という純粋な喜び。 すでに色々なところで指摘され、また作り手も認めている通り、『ダイ・ハード』に強く影響された映画です。 しかしそれ…

三十路男の魔法『マジック・マイク』

チャニング・テイタムの実体験をもとにした、夢みる男の物語。 そういうあらすじはわかっていたはずなのですが、キラキラした宣伝と、肉体美ひゃっほー、マシュー・マコノヒーひゃっほー、といったTLの印象に気を取られてすっかり忘れていました。なのでなん…

ぼくたちはやり直せる 『華麗なるギャツビー』と『オブリビオン』

『華麗なるギャツビー』は1920年代のアメリカを舞台に、ハイスピードな資本主義社会のなかで失われゆく純粋な理想をいとおしむ物語である。今回のバズ・ラーマンの映画は、原作のなかでもとくにその思想を伝える部分がクローズアップされており、よりわかり…

俺はここにいる『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』

「おっ、降ってきたな」 「俺、雪が降り始めるとわくわくしちゃうんだよ」 「子供かよ」 冬のはじまりの札幌の空気はおもしろい。 これから半年間続く、雪と寒さに閉ざされた苦しい時期に陰鬱となるいっぽうで、心の半分では、なにか素敵なことがはじまった…

変態仮面のことは好きになったよ!『HK 変態仮面』

原作は未読ですが、リアルタイムで連載を読んでいたという妻から「それはわたしのおいなりさんだ!」あたりの基礎知識はまえまえから聞いていました。 まず冒頭の、MARVEL映画&ライミ版『スパイダーマン』オープニングの完コピで笑わされかつ心を掴まれまし…

裏切り、裏切られる男たち『ジェシー・ジェームズの暗殺』

19世紀後半、強盗を繰り返し名を馳せたアメリカの無法者ジェシー・ジェームズが、仲間の裏切りによって暗殺されるまでを描く。 『ジャッキー・コーガン』予習のため観ました。 これを映画館で観なかったのは本当に惜しい。とかく、隅から隅まで映像と音が…

戦場は特別な場所じゃない『アルマジロ』

スリリングでインパクトある映画だし、今後戦争を扱った娯楽作品を観るときには念頭に置きたい作品の一つにはなりましたが、戦争映画なら『ブラックホーク・ダウン』『ジャーヘッド』、ドキュメンタリーなら『精神』、といった自分のなかのベスト作品群のも…

「時空を超えて世界を救っちゃうオレ」の映画『ルーパー』

近場での公開終了日に観てきました。前評判通り、たいへん面白い一作。TBSラジオ「たまむすび」で山里亮太さんが本作の面白さを「次々に「いいやつ」が変わって、誰を応援していいかわからない!」と表現していましたが、言い得て妙と思いました。 そうい…

2012年の映画ベスト10

2012年、映画館で観たのは合計50本。 観るべきだったのに観てなくてごめんなさい映画は『ドライヴ』『アウトレイジ・ビヨンド』『崖っぷちの男』『マルドゥック・スクランブル/排気』あたりでしょうか。つーか毎年多すぎですね。 50本のなかからベスト1…

『ブラッド・ウェポン』

アクション映画を褒めるとき、「CG全盛のハリウッド映画からは失われつつあるリアル重視のアクションが…」というたぐいの枕詞が一般化したのはいつごろからでしょうか。やっぱあれ、あんまりよくないと思う。 本作もどうもそういう路線で売られているよう…

『デンジャラス・ラン』

最後は最新の映画で〆ましょう。今年の秋に公開されたばかり、『デンジャラス・ラン』です。 凄腕工作員として名をあげながら、組織を裏切り長年逃亡していた元CIA工作員フロスト(デンゼル・ワシントン)がついに南アフリカで拘束された。彼を一時的に留…

『スパイ・ゲーム』

『スカイフォール』が萌えるのは、ジェームズ・ボンドが、国家を守るという自分の職務の枠を意識しつつ、それを超えて上司Mを守ろうとするから。組織のなかで個人のために暗闘する、そういう二律背反のなかをくぐり抜けていくスパイたちにぼくはドキドキす…

『スカイフォール』を観たあなたにおすすめしたいスパイ・フィクション三選

みなさん、『スカイフォール』、楽しかったですね! この盛り上がりを聞いて、ひさびさに007を映画館で観た、あるいは初めて007を観た、という人も多いのではないでしょうか。 世の中には、まだまだ他にも魅力的なスパイ映画、スパイ小説がたくさんあ…

なんだ傑作か『007/スカイフォール』

観賞が前提の文章です。ネタバレてんこもり。 なんかもう予想通りでつまんないくらいだったんですけどその予想というのは「きっと傑作にちげえねえ」という見通しだったわけでそこにきっちり沿ってくれているんだからもうほんとに傑作。えらいえらいぞサム・…

THINK ON YOUR SINS/スカイフォール予習

この15年ほどのスパイ・フィクションの歴史を振り返るとき、そこには時代ごとに人びとが背負った/背負いたがった「罪」を概観することができる。スパイが活躍した(すべきだった)事件や場所、時代の空気が告発され、観客たちに「罪」を見せつける。 なぜ世…

人と本の映画『映画 スマイルプリキュア! 絵本の中はみんなチグハグ!』

テレビアニメ『スマイルプリキュア!』映画化作品。 「世界の絵本大博覧会」にやってきたみゆきたちプリキュアの五人は、絵本のなかからやってきたという少女ニコに出会う。彼女に連れられ五人は絵本の世界を訪れるが、やがて謎の影の仕業によっていくつもの…

職場がなくなったあとのことは考えない『トータル・リコール』

『トータル・リコール』を観てきました。 バーホーベン版は昔日曜洋画劇場で観たきりですが、夢か現実かをあんまり悩んでない映画という印象。今作もおおむね前作と同じ雰囲気を保っています。 スパイもの愛好家としては、すべては妄想であり、スパイワナビ…

兵士と消防士『ネイビーシールズ』

*事前のお断り* 本稿はかなり偏ったFPS観に基いて書かれています。とくに、CoD以外の諸作に関する知識・歴史観がぼくには圧倒的に欠けており、そのへん眉に唾つけて読んでいただけると助かります。間違ったことがあったら、射殺するまえに教えてれるとうれ…