こづかい三万円の日々

40代の男がアニメ、映画、音楽などについて書いています。Twitter:@tegit

『ラブライブ!サンシャイン!!』のイメージアルバムを勝手に編んだよ

 タイトルの通りの記事です。そういうテーマで自分の好きな曲について語りたいだけでもある。

 「この曲実質ラブライブ!じゃね?」みたいな直球(とぼくは思う)ものもあれば、なんとなくなものもあり、あと二次創作のイメージソース的に聴いているものもあります。楽しんでもらえればいいんですけど。


 それではいってみましょう。

 


Penguin Cafe Orchestra"Perpetuum Mobile"(1987年)


Perpetuum Mobile - Penguin Cafe Orchestra

 イギリスの楽団によるインストゥルメンタル曲。クレイ・アニメーション映画の傑作『メアリー&マックス』(2009年)で印象的に使われていた。遠く離れた街に暮らす少女メアリーと中年男のマックスは、文通をするうちに互いの孤独を分かち合い、生涯の友人になっていく。
 人は一人で生きる。しかし時として、魂を分かち合えるような人と出会えることもある。人と人の出会いと人生を祝福するような音楽だと思う。高海千歌桜内梨子のための曲。

 

・New Radicals "You Get What You Give"(1998年)


New Radicals - You Get What You Give

君の中には音楽が宿ってる
諦めちゃダメだ
君の中には音楽が宿ってる
もう1ゲーム残ってるぜ
この世界はきっと持ち堪えるさ
投げ出しちゃいけない
君には生きてく理由があるんだ
忘れるなよ
頑張った分だけ きっと帰ってくるんだってことを
その手を離さないで
感じるよ 君の中にある音楽
高く飛んでいくんだ
真実は決して死にやしない
頑張ったぶんだけ 手に入れられるものも大きいのさ
だから飛び立つことを恐れないで
*1

 音楽が誰かのなかで鳴っている、という表現が好きだ。内浦の海で梨子たちは海の音を聴く。それは確かに真実聴こえたのだろうけれども、同時に彼女たちのなかでも、彼女たちのなかにあった音楽が鳴り始めたのだと思う。

 

・YURI!!! on ICE feat.W.HATANO『You Only Live Once』

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きみは一度だけ生きる
きみは一度だけ生きる
きみは一度だけ生きるんだ…

輝くために生まれてきた、と
輝きながら
君が教えてくれた

  作詞の西寺郷太ノーナ・リーヴスのボーカルであり、80年代以降の洋楽に造詣が深いことでも知られる。光り輝く誰かの姿に触発されて自らもまた一度しかない人生を生き抜こうとする本作の歌詞には、マイケル・ジャクソンを中心とした偉大な先人たちへの尊敬と愛情も込められているように思う。

 

 μ'sによって自身のなかの音楽に気づき、自らの輝きを目指し始めた高海千歌は、しかし何度も挫折しそうになる。

RHYMESTER『ONCE AGAIN』(2010年)

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午前零時 日付の変わる瞬間 雨上がりの冷気
感じながら誓う またリベンジ 気がつけば人生も後半のページ
なのにまだハンパなステージ 時には手痛く食らっちまうダメージ

風はまた吹く 気付かないならかざしな人差し指を
陽はまた昇るゆっくりと 決して立てるな己にその中指を
風はまた吹く 気付かないならかざしな人差し指を
陽はまた昇るゆっくりと その時立てろ親指を

 挫折に苦しむ中、悔しいよ、と自らを責めて「己にその中指を」立てる高海千歌は、仲間とその悔しさを分かち合うことで再び立ち上がる。
 1期8話のためのテーマ。

 

・LEN "Steal My Sunshine"(1999年)

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 Aqoursにもこういう気だるい夏の海の町の空気を閉じ込めたゆるい曲があったらいいなーという願望。『地元愛 満タン☆サマーライフ』はかなりいい線いってました。

 

クラムボン『波よせて』

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「海の向こうに何がある?」口にすると同時に服のまま飛び込む
月の光のじゅうたんの上を彼はなめらかに滑っていくよ

波よせて 波よせて
君は行く 君は行く
誘われて 誘われて
君は行く 君は行くんだね

  「海の向こう」にある何かを求める少年と、かれとその視界を共有できず「立ちすくみうなずく」しかできない人との一晩の出来事を幻想的に歌う名曲。オリジナルはSmall Circle of Friendsというバンドですが、クラムボンによるカバー版がすばらしい。
 千歌を見る梨子の歌かもしれないし、果南を見るダイヤの歌かもしれない。内浦の夜の浜辺で聴きたい。

 

tofubeats『朝が来るまで終わる事の無いダンス』

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 μ'sもAqoursも劇中でクラブ文化が触れられることはないんだけど(そしてぼくもクラブには行ったことなんてないんだけど)、彼女らのライブや楽曲には「踊り続けること」への憧憬が込められているように思う。期限付きのスクールアイドルという存在ゆえのことかもしれない。

 

Katy Perry"Teenage Dream"(2010年)

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あなたはわたしに
十代のころの夢のなかで生きてるみたいって思わせる
あなたがスイッチを入れたから
わたしは寝てなんていられない
一緒に走り出そう
二度と振り返らないで
二度と振り返らないで

 凡庸*2なポップシンガーが、凡庸な恋愛の高揚を歌ったポップソング――なんだけど、なぜか結果的にむちゃくちゃ切実に聴くものの胸に刺さる歌になってしまったという稀有な名曲。終わりゆく青春を追いかけ追い越そうとする感覚が、すごくアメリカ的でもあるし、同時に日本のアイドル的でもあると思う。


Third Eye Blind "Blinded"

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君を見ると
太陽を見たときみたいに目がくらんで
何も見えなくなる

 別れた恋人のことを眩しく思い出すという曲なんですけども、より広い話、輝かしくも手の届かない何かについての、苦しさや焦り、愛といった複雑な気持ちをも歌っていると思う。
 ぼくがAqoursを好きなのは、彼女たちが輝く存在であると同時に、μ'sという輝く存在を仰ぎ見る人たちでもあるからだ、ということを思い出させてくれる曲。

 

・The Chainsmokers & Coldplay "Something Just Like This"(2017)

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ぼくは古い本をたくさん読んできた
伝説と神話の世界
アキレスと神々
ヘラクレスとその天賦の才
スパイダーマンの身のこなし
バットマンとその拳
でもぼくが彼らみたいな人間じゃないことは確かだ

 自分は何者なのか。かつて目指した英雄たちのように、自分は輝けたのだろうか? どんな栄光を掴んだ人間でも、そんな自分のなかの不安から逃れることはできない。

でも彼女は言う、あなたは何をしようとしてるの?
どんな危険を冒そうってわけ?
超人みたいな能力の持ち主は探してない
スーパーヒーローでもなく
おとぎ話の登場人物でもなく
私が探しているのは
ただ私を抱きとめてくれる人
そばでキスをできる誰か

そんな誰かを探している

  Aqoursというのはそういう人たちなんだろうな、と思う。(キスができるわけじゃないけど)


坂本真綾『光あれ』

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 新田恵海さんがかつてNHKFMの『今日は一日歌う声優三昧』にゲスト出演していたときに、自身の好きな曲として挙げていた。別の番組では新田さんが自らカバーして歌ったこともあるらしい。音源化してください。

僕の花はもう二度と開きはしないと思ってた
でも遅くたってかまわない 壊れた時間を取り戻したい

もしもまだこの声が誰かに届いてるなら
その人に誓いたい
ぼくは愛を忘れないと
いつかまたぬくもりを抱いて歩いてみせる
その力信じたい
生まれ変わる勇気はもう僕の中に

  浦の星の三年生のための曲であり、新田さんのための曲であり、新田さんを目指すAqoursのための曲であり…。

 

P!NK "What about Us"(2017年)

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 かくして「みんなで叶える物語」は紡がれていく。しかし「みんな」っていったいなんなんだ。17年夏、HAPPY PARTY TRAINツアーの最中、この曲を聴きながら「us」を「みんな」と読みかえて、そんなことを考えていました。いまだ答えは出ない。
 この曲はトランプ大統領に対するプロテストソングなんですけど、「私たちはどうなるの」という異議申し立てとしての"What about us"というフレーズに、曲の後半では「私たちはなにをすべきか」という内省のニュアンスもこもっていくところが好きです。

 

槇原敬之『三月の雪』(1991年)

みんなと会ったあの日からまだ
一年も経たないのに
不安ばかりを抱きしめたまま
次の春は待ってくれない

 そう、待ってくれないのだ。

 

サカナクション『ミュージック』

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離れ離れ
鳥は群れの仲間が
懐かしくなるのか
高い声で鳴いた

何も言わない
言わない街は静かに
それを聴いてたんだ
弱い僕と同じだろうか

  この曲もHAPPY PARTY TRAINツアー中何度も聴いていました。ライブに行くということは、ライブが終わる瞬間、Aqoursと別れる瞬間を迎えなきゃいかないっていうことじゃないですか。そういう、あまりに甘い辛さを耐えるために聴いてた。

いつだって僕らを待ってる
まだ見えないままただ待ってる
だらしなくて弱い僕だって
歌い続けるよ
続けるよ

 辛いとかなんとか言って、ダサい自分にうんざりしながら、でも、歌い続ける人たちを見続けることができること、自分だってたまには歌う日々を続けられることを精一杯抱きしめて生きていけばいいのだ。今はそういう気分です。

 

・Adam Levine "Go Now"

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 映画『シング・ストリート』エンディング曲。花田十輝さんもお好きな映画だということなので実質『ラブライブ!サンシャイン!!』楽曲に含めていいんじゃないでしょうか。

お前は遠くまでやってきた
見ろ、お前はすべての戒めを解いてきた
お前は正しいんだ、突き進め
お前の人生のために走り続けるんだ

おれたちはいま進まなきゃ二度と進めない
お前はいま知ろうとしなければ二度と知ることができない
決して戻るんじゃない、振り返るな
おれたちはいま進まなきゃ二度と進めない
お前はいま成長しなきゃ二度と成長できない
お前はいま知ろうとしなければ二度と知ることができない

おれたちはいま進まなきゃ、二度と前へ進めないんだ

 

・May'n『Shine A Light』

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あなたもそうよ 光になる
冷たい闇をもう恐れないで

世界を照らせ
Shine a light to the world
心に希望のSymphoony
はじめよう 今からが夢の向こう
飛んでいけ

永遠に
Shine a light to the world
終わることのないSymphony

愛は光
そう ここがきっと きっと
はじまりの場所

 2期13話をどう受け止めるか、そりゃいまだに考えあぐねているんですけど、もうこういうまっすぐ「輝こうよ」というポジティブな「はじまり」としてのエンディングだったのかもしれないな、とも思っております。わからん。 

 

U2 "I Still Haven't Found What I'm Looking For"

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高く聳え立つ山々にも登ったし
幾つもの戦地を切りぬけて来た
ただきみと一緒になるがため
ただきみと一緒になるがため

ぼくは走りまわり這うように進み
街の壁という壁をよじ登って来た
ただきみと一緒になるがため

それでもぼくはいまだに見つけていない
自分が探し求めているものを
それでもぼくはいまだに見つけていない
自分が探し求めているものを *3

 

 きっと高海千歌と仲間たちは、これからも走り続けてくれると思う。ぼくはただ可能な限り長い時間、彼女たちと伴走し続けたい。それだけだ。

*1:訳:田村亜紀。以降、特別な記載のあるものを除く訳詞は自分で書きました。

*2:といってもむちゃくちゃ魅力的なんだけれども、でもケイティー・ペリーってその「いつの時代にもいそうなポップシンガー」としてこそ魅力的なんですねぼく的には。特にこの曲の時期は。

*3:訳:中川五郎