こづかい三万円の日々

40代の男がアニメ、映画、音楽などについて書いています。Twitter:@tegit

『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』放送直前に思うこと

 いよいよ今日からテレビアニメ『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』の放送が始まります。
 このまま静かに放送開始を迎えようかなと思っていたんですけど、『ラブライブ!』シリーズの前作、『ラブライブ!サンシャイン!!』の放送開始時にはその時の期待や気持ちを書いていて*1、あとから読み返すとそれなりに有用だったので、今回もかんたんに書き留めておきます。


TVアニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」PV ロングVer.

 

 『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』のもともとの源は、ソーシャルゲームラブライブ!スクールアイドルフェスティバルスクフェス)』だったと思います。主要キャラクター9人のうちの3人はスクフェスで登場していましたし、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の物語が大きく展開される『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバルオールスターズ(スクスタ)』はスクフェスの後継的なゲームですから。
 わたしはスクフェスをけっこうやり込んでいた人間なので、そこに登場するμ's・Aqours以外のキャラクターにもけっこう思い入れがありました*2。一番好きだったのは酒巻千鶴子さんだったんですけど、二番目くらいが桜坂しずくさんだったので、彼女が「パーフェクトドリームプロジェクト」という新しい動きのもと、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会として新しい活躍をしていくと聞いたときにはけっこう心が踊った記憶があります。
 その新プロジェクトの発表が東京ゲームショウで行われて、新田恵海さんと伊波杏樹さんが司会進行役で、そして虹ヶ咲学園の九人も登壇したのでした。

 

 確かこのときが、Aqoursとμ's(とそして虹ヶ咲)、というラブライブ!のシリーズを横断してキャストが公の場に姿を表した最初の機会だったんですよね。なので正直、虹ヶ咲学園の個々の印象まできちんと見ている余裕はなくて、Aqoursがついにμ'sと一緒に…!という嬉しさでいっぱいっぱいなのだった。
 この時点まで、ラブライブ!シリーズが続いていくことの是非や、Aqoursの正当性がずっと長く議論されていて、そこに「ども、新人でーす」という感じで(というと虹のファンの人たちはそんな気楽なもんじゃねえんだよと怒るかもですが)、ヌルっと登場してきてくれたこと、Aqoursファンとしてはいい意味で気が抜けた記憶があります。あ、べつにいいんだよな、新しい人たちがどんどん入ってきたって、と改めて思わされたので。

 その後、ラブライブ!フェスという祝祭が実施されるまでに至ったシリーズですけど、それはAqours(とSaint Snow)だけでも達成できなかったことで、虹ヶ咲の面々がいたからこそ、でもあったと思います。
 プロジェクトが発表され、スクフェスの後継ゲームによって本格的に活躍するのだということはおおよそ明らかになっても、実際にゲームがスタートしたのは2019年のことでした。二年ですよ二年。今考えると本当に危うい綱渡りだったと思う。キャストもファンもスタッフも、よくモチベーションを維持してこれたなと思う(細かな紆余曲折はあったし、見えないところでもあったのでしょうけど)。明確な逆境でもないけども、こういう塩漬け的な状況もけっこう辛いと思うんですよね。目の前でAqoursはすごい活躍しているわけでもあるし。
 もちろん、ゲームやアニメのような長い尺を使って語られる物語でなくとも、コンテンツを魅力あるものとすることは可能だと思うのですが、やっぱり、この間にwebメディアなどで複数展開されていた虹ヶ咲の物語だけでは、限界はあったと言わざるを得ないと思うのですね。というか、キャストたちはゲームの音声収録などで大きな物語を薄々知っていたはずで、それを語れないのもなかなかしんどかったんじゃないか。


 そうして公開されたスクスタですけども、たいへん恥ずかしながらメインストーリーをまだすべてクリアできていないのですが、それでもこのゲームがどういうものを目指しているのかはおおよそわかる。
 ソシャゲを大してやっていない身なので、ほんと自分の狭い経験のなかでしか語れなくて申し訳ないのですけど、スクスタの物語の意味づけとか重みって、ゲームをプレイし続けさせたいと思わせる中心に据えられていて、これって例えば自分のやっている『Fate:Grand Order』とか、『誰ガ為のアルケミスト』みたいな、RPG的な大きなストーリーのゲームの印象に近いな、と思うのですね。
 だから、「虹ヶ咲学園にはアニメ化の予定はなかった」というのもけっこう素直に納得できる。だってゲームでちゃんとがっつり語っているんだもの。アニメ化するとしても、それこそFGOのそれのように、ゲームの再話であってコンテンツの主目的に据えはしないでしょう。

 なので、それでもアニメにするのだ!(しかもけっこうシリーズ全体を通しても他に見当たらない衝撃的な展開が明らかになっていない時点で)、というのは本当にすごい。決めたスタッフもすごいし、そこまで虹ヶ咲学園を育てたキャストもファンもすごい。心の底からおめでとうございますと言いたい。

 プロジェクト発表以降、あまり熱心に追っかけていなかった自分が言えるのはもうこのくらいなのですが、あの東京ゲームショウの情景を思い返すにつけ、やっぱあのときの虹ヶ咲学園が持っていた「新しくできちゃいました~」感が、これからも続いていってほしいなあというふうには思います。μ'sを追いかける物語というのはもうAqoursが散々やってくれて、やりきったので、そこをたどり直す必要はないし、Aqoursを追いかける必要はないし、ラブライブ!らしさとか、そういうのぜんぶ取っ払って、「個人で活躍するスクールアイドル」っていう虹ヶ咲のテーマに則って好き勝手やってほしいなあと思う。
 ただただ、九人(と一人、あるいは二人?)が、楽しくスクールアイドルやっていてくれればそれでいいんですよ……となんだかもう老人みたいですけども、そのように思うのでした。
 虹ヶ咲の人たちがやってくれたのは、μ'sの名曲、『Sunny Day Song』の背景で描かれた無数のスクールアイドルのそれぞれの、かけがえのない個人としての顔を見せてくれたことだとわたしは思っています。それだけでもうラブライブ!好きとしては嬉しくて楽しくて仕方ないのです。

*1:https://tegi.hatenablog.com/entry/2016/07/02/221346

*2:なにより、藤丸先生によるゲーム内漫画が大好きでした。成人漫画をメインの活躍の場にしている作家さんによるコンテンツを、継続して打ち出していくのは難しい面もあったのでしょうけど、せめて書籍化はしてほしかったし、藤丸先生には虹ヶ咲にも関わっていってほしかったです。残念。